前回7-3の最後で予告した、二項分布の正規近似に入ります。
二項分布B(n,p)は、nが大きいとき、正規分布で近似できます。
ルールはこうです。nが十分大きいとき、B(n,p)≒N(np, np(1−p))。
期待値npと分散np(1−p)を持つ正規分布に置き換えられる、ということです。
直接計算が大変な二項分布の問題が、正規分布の確率計算に変わる。これが正規近似の威力です。
例題:コインを100回投げ、表が出る回数XがB(100,0.5)に従うとします。
「Xが60以上になる確率」を、正規近似で求めます。
ステップ1:近似する正規分布を決めます。期待値np=100×0.5=50。
分散np(1−p)=100×0.5×0.5=25。標準偏差σ=√25=5。近似はN(50,25)です。
ステップ2:標準化します。Z=(60−50)/5=2.0です。
ステップ3:P(X≥60)≒P(Z≥2.0)=0.5−0.4772=0.0228(約2.28%)です。
100回投げて表が60回以上出るのは、約2.28%。50回に1回くらいの珍しさです。
Excelで確認すると「=1-NORM.DIST(60,50,5,TRUE)」も同じく0.0228。ぴったり一致します。
直接二項分布で計算した正確な値は約0.0284。誤差は0.0056ほどで、近似の精度はかなり高いです。
さえよくあるミスは2つ!分散でnp(1−p)の(1−p)を忘れる、標準偏差で√を忘れる、この2つだよ!
この正規近似、試験ではほぼ毎回のように出題される頻出パターンです。2問、練習しておきましょう。
練習①:万歩計が、歩くたびに10回に1回カウントするとします。1000歩で110回以上カウントされる確率は?
カウント回数XはB(1000,0.1)。平均μ=1000×0.1=100、分散σ²=1000×0.1×0.9=90です。
標準偏差σ=√90≒9.49。標準化するとZ=(110−100)/9.49≒1.05です。
P(0≤Z≤1.05)≒0.3531なので、P(Z≥1.05)=0.5−0.3531=0.1469(約14.7%)です。
練習②:100問の○×問題を全てあてずっぽうで答えます。58問以上正解する確率は?
正解数XはB(100,0.5)。平均μ=50、分散σ²=100×0.5×0.5=25、標準偏差σ=√25=5です。
標準化するとZ=(58−50)/5=1.6。P(0≤Z≤1.6)=0.4452です。
P(Z≥1.6)=0.5−0.4452=0.0548(約5.5%)。あてずっぽうで58問正解はレアケースとわかります。
正規近似は、nが大きくpが0.5に近いほど精度が良くなります。
3級の問題では、近似で計算するか二項分布の式で直接計算するか、問題の指示に従うのが大事です。
さえσがきれいな数字(今回なら√25=5)になったら、たいてい計算は合ってるサインだよ!
手順は「①平均npと分散np(1−p)を出す②標準化する③正規分布表で確率を読む」の3ステップでしたね。
次回はいよいよ第7章最後のテーマ、正規分布の和と差です。
