前回は標準正規分布表を使いました。実務では、Excelの関数を使うほうが圧倒的に楽です。
試験では表を使いますが、計算の理解を深めるために、Excelにも触れておきましょう。
基本の関数は「=NORM.S.DIST(z, TRUE)」。標準正規分布でP(Z≤z)を返します。
Sはstandardのこと。第2引数にTRUEを入れると、累積確率(左からの面積)が返ります。
FALSEを入れると密度(曲線の高さ)が返るので、3級では基本TRUEと覚えてください。
使用例:=NORM.S.DIST(1.5,TRUE)は0.9332。前回の答えとぴったり一致します。
=NORM.S.DIST(-1,TRUE)は0.1587。Excelは負の値もそのまま入力できます。
P(Z≥2)を求めたいときは=1-NORM.S.DIST(2,TRUE)で0.0228になります。
さらに=NORM.S.DIST(1,TRUE)-NORM.S.DIST(-1,TRUE)を計算すると0.6827になります。
これは前回学んだ「68-95-99.7ルール」の正確な値。「約68%」の正体はここにありました。
さえ表を見るより断然速いよね!負の値もそのまま入れられるのがExcelの強みだよ!
さて、確率を求めたい正規分布がN(0,1)でない場合はどうするか。ここで使うのが標準化です。
計算の流れは3ステップ。①Xを標準化②範囲をZの範囲に変換③標準正規分布の確率として求める。
例題:日本人男性の身長がN(170,36)、つまり平均170cm・標準偏差6cmに従うとします。
「身長176cm以上の人の割合」、つまりP(X≥176)を求めます。
ステップ1:X=176を標準化します。Z=(176−170)/6=1.0です。
ステップ2:X≥176は、Z≥1.0と同じことです。
ステップ3:P(Z≥1.0)=0.5−0.3413=0.1587(約15.87%)です。
身長176cm以上の人は、約16%というわけです。
Excelなら標準化しなくても、NORM.DIST関数で一発計算できます。
「=NORM.DIST(x, μ, σ, TRUE)」。正規分布N(μ,σ²)でP(X≤x)を返します。
先ほどの身長の例なら「=1-NORM.DIST(176,170,6,TRUE)」で、標準化なしにいきなり0.1587が出ます。
第3引数は標準偏差σです。分散σ²ではないので注意してください。
さえ試験では標準化して表を使う、実務ではNORM.DISTで一発計算。使い分けられると最強だよ!
NORM.S.DISTはSが付くので標準正規分布専用、NORM.DISTはSが付かないので一般の正規分布用でしたね。
次回は、この標準化の考え方を使って、二項分布を正規分布で近似する方法を学びます。
