前回、10,000人のうち陽性になったのは90人+495人=585人でした。
この585人のうち、本当に病気なのは90人だけ。残り495人は誤判定です。
P(病気|陽性)=90÷585≒0.1538≒15.4%。
予想より低かったですよね。検査の精度が90%もあるのに、病気である確率は約15%です。
誤判定の495人が、正解の90人より圧倒的に多いことが理由です。
なぜこんなに低いのか。理由は「もともと病気の人がとても少ない」からです。
100人に1人しか病気でないなら、10,000人中の病気はたった100人です。
一方、病気でない9,900人のたった5%でも、人数にすると495人にもなります。
母数が大きいと、誤判定の絶対数も大きくなる。これがベイズ計算の核心です。
検査の精度(90%・5%)だけ見ると高そうでも、もとの確率が低いと答えは思ったより低くなります。
「精度」と「事前確率」の両方を見るのが、ベイズの考え方です。
ここまでの計算を、確率の式で振り返ってみましょう。
事象A=病気である、事象Aの余事象=病気でない、事象B=検査が陽性、と決めます。
わかっている確率は、P(A)=0.01、P(B|A)=0.90、P(B|A^c)=0.05でした。
陽性者の合計は、P(B)=P(A)×P(B|A)+P(A^c)×P(B|A^c)という式で書けます。
実際に計算すると、P(B)=0.01×0.90+0.99×0.05=0.0585。
これは10,000人中585人が陽性、つまり5.85%という先ほどの結果と一致します。
意味は素朴です。「Bが起こる確率は、Bが起こりうるすべての経路を足したもの」ということです。
私たちが求めたいのはP(A|B)。条件付確率の定義から、P(A|B)=P(A∩B)÷P(B)です。
分子のP(A∩B)は「病気かつ陽性」の確率で、P(A)×P(B|A)と表せます。
これが、あの「ベイズの定理」の正体です。
実際に値を入れると、P(A|B)=0.01×0.90÷0.0585=0.1538…(≒15.4%)。
人数で計算したものと、式で計算したものがぴったり一致しますね。
さえ式は、人数の計算を正確に表現する道具にすぎないんだよ。だから答えが一致するんだね!
次回は、このベイズの定理がなぜ大切なのか、そして試験での解き方の型を見ていきます。
