確率の山場、ベイズの定理に入ります。「結果から原因を推測する」ための強力な武器です。
前回学んだ条件付確率を発展させた定理で、医療診断やAIにも使われています。
さえ最初に直感で答えを予想してから計算するのがおすすめだよ。ギャップこそが記憶に残るからね!
次の例題を、一緒に最後まで計算してみましょう。
ある病気にかかっている人は、人口全体の1%(100人に1人)です。
病気の人がこの検査を受けると、90%の確率で陽性となります。
病気でない人がこの検査を受けると、5%の確率で誤って陽性となります。
ある人が検査を受け、結果が陽性でした。この人が本当に病気である確率は?
「検査の精度が90%なら、陽性なら90%くらい病気では」と感じませんか?
実際の答えは、約15%です。
検査の精度が90%もあるのに、陽性でも病気の確率はたった15%。直感に反する結果です。
なぜそうなるのか、これから一緒に計算で確かめていきましょう。
確率を割合のまま考えると混乱しやすいので、具体的な人数に置き換えます。
100人では少し心もとないので、10,000人を仮定して計算しましょう。
10,000人を、病気の人と病気でない人に分けます。
病気の人は1%なので、10,000×0.01=100人。
病気でない人は99%なので、10,000×0.99=9,900人。
次に、この100人と9,900人が検査を受けた結果を考えます。
病気の100人のうち90%が陽性になるので、100×0.90=90人。
残りの10人は陰性、つまり本当は病気なのに見逃される「偽陰性」です。
病気でない9,900人のうち5%が誤って陽性になるので、9,900×0.05=495人。
残りの9,405人は、正しく陰性と判定されます。
同じ計算をツリー(樹形図)で見ると、分岐がイメージしやすくなります。じっくり版(本編)で確認してみてください。
陽性となった人をまとめると、病気で陽性90人+病気でないが陽性495人です。
陽性者の合計は、90+495=585人になります。
さえ病気じゃない人がもともと多いから、わずか5%の誤判定でも人数はけっこう増えるんだね。
次回は、この585人を使って実際にP(病気|陽性)を計算し、答えを確かめます。
