こんにちは! Excel講師の榊裕次郎です。
2021年6月12日(土)で、Excel基礎講座も176回目となりました。今日も意欲的な受講生がご参加いただいたので、私自身もまたExcelの基礎を磨くことができました。
さて、私が書いた「時短しながらミス撲滅 Excel無敵のルール」にも最初の章で書いたのですが、アクティブセルをセル「A1」に戻してから上書き保存をしてほしい、というのを今日の授業後に改めて訴えたいなと思い、ブログで書いておくことにします。
上書き保存の際、セル「A1」に戻すなんて面倒だ! 細かすぎる! 何の意味がある? と思う人が大多数です。
私がお手伝いしているいくつかのクライアントの社員にも徹底させているのですが、「細かすぎない? 」という声さえ聞こえてきます。
本の中には、本の内容にふさわしいことを書きましたが、ここは自分のブログなので先に感情的な理由を書くと、ファイルを開いたときに範囲選択がされたままの状態だったり、セル「F100」にすっ飛んでいたりすると、単純にムカっとなってしまうようになったからです。
最近は、メール添付ではなく、SlackやWorkplaceなどのビジネス系SNSアプリ上でExcelファイルを添付して「ご確認よろしくお願いいたします」といった具合で、Excelファイルを投げていることがほとんどです。
その、ご確認よろしくお願いいたしますと言っておきながら、作業したままの状態でぶん投げられるのが、本当に嫌になりました。
なんでしょうね。
若干、被害妄想が含まれているかもしれませんが、榊先生に頼めばあとはやってくれるよ的な意図も感じられるほど、何十回と耐え忍んでいるので、堪忍袋の尾が切れそうになってきたのかもしれません。
そういったワークシートは、
- 行が非表示になっている
- 列が非表示になっている
- セル結合が多用している
- #REFエラーが出ている
- 誰も理解できない長文のIF関数がある
- フォントが大きくなって表示倍率が40%ぐらいになっている
と、最終的にはどこを確認すればいいのか、皆目見当がつかない汚いワークシートばかり。これはもしかしたら嫌がらせを受けているのかな? とさえ感じたこともありました。
今まで一番激怒したのが、数式の答えではなく、帳尻合わせのためにそれらしい数字をぽんと表の中に入れられたこと。これはパソコンをテーブルの上に打ち付けたくなりましたね。
私なりにですが、たくさんの苦労をしています。
さて、こうして書いていると感情は高ぶる一方なので、一旦深呼吸をして心を落ち着かせ、どうしてセル「A1」に戻さなければいけないのか? その理由を書きます。
自分一人で管理するワークシートであれば、セル「A1」に戻して保存をする必要はありません。自由にやればいいのです。あなただけの世界だから、そこに外部の人間が干渉する理由も何もありません。
今の時代、Excelファイルは共有して使うことがほとんどです。
誰かと一緒に作業をするのであれば、そこはもう公の場。Excelファイルをセル「A1」のホームポジションに戻すことで、いろいろなことにその人は気づくと思います。
食べこぼしたままのフリーデスクを使うのは嫌でしょう。吹きこぼれて掃除がされていないままのシェアキッチンは怒鳴りたくなります。公共施設のトイレに入ってふたをあけたら、排泄物が流れていなかったらほんと最悪です。
Excelは汎用性が高く自由度もあるアプリケーションソフトなので、ただでさえ身勝手な操作をしてしまいがちです。
クラウドで、複数人と共有作業ができるとはいえ、Excelは基本的には個人プレイとなります。そのため、次に使う人のことを考えずに立ち去ってしまうことが、あたりまえとなってしまうのです。
セル「A1」に戻してから保存するというルールは、このワークシートは他の人も使っているという意識を生むことができる習慣だからこそ必要な操作です。
これは自分ひとりが扱っているのではない。みんなが使っているワークシートなのだと。
このルールを守ってくれるだけで、時間は要しますが、自然と余計な行列の非表示はしなくなり、フィルターも外してから保存してくれるようになっていきます。#REFエラーがどれだけ面倒なエラーか、組織の全員が共通して理解してくれることでしょう。
この習慣は、このまま保存すると次使う人が誤操作をしてしまいかねない、という思いやりが育まれると考えています。実際にそれで改善した企業もあるくらいです。
細かいこととはいえ、間違いないルールだと確信しています。
だから、セル「A1」に戻してから保存をしてほしい。 説教くさくなってしまいましたが、それくらいセル「A1」に戻す癖は、ワークシートの取り扱いの共通ルールを自然と生み出してくれる操作です。
初期値に戻すことは、
- 表示倍率は100%を維持
- フィルターはきちんと外れている
- すべてのセルがちゃんと見えている
状態を保持します。このルールは、組織の歯車をもっと早く回すことができると信じて疑いません。
【余談】Googleスプレッドシートは起動時、どこでブラウザを閉じても開始はセル「A1」なのでいいですね。