前回、標本平均が確率変数であり、その分布が「標本分布」だと学びました。
今回は、標本平均の標本分布の性質を、具体的に見ていきましょう。
母集団から大きさnの無作為標本を取り、標本平均x̄を考えます。母平均μ、母分散σ²とします。
標本平均x̄の期待値は E(x̄)=μ、分散は V(x̄)=σ²/n です。
標準偏差で見ると σ/√n(シグマ割るルートn)になります。
さえ数式が出てきたけど、難しいところは読み飛ばしてOK!イメージができれば十分だよ。
まずE(x̄)=μの意味。標本平均を何度も計算して平均を取れば、母平均と一致するのです。
標本平均は、母平均の「偏りなき推定値」。これが推定値として使える理論的な根拠です。
次はV(x̄)=σ²/n。標本サイズnが大きいほど、分散は小さくなります。
標準偏差もσ/√nなので、nが4倍になれば標準偏差は半分です。
たくさんの人の身長平均のほうが、値は安定するはず。それを式で表したのがこの形です。
100人の平均と1万人の平均なら、後者のほうが真の母平均に近いと感じますよね。
ここで、3級を少し超えるけれど知っておきたい定理を紹介します。
中心極限定理:母集団がどんな分布でも、nが十分大きいとき標本平均x̄は正規分布に従います。
母集団自体がどんな歪な分布でも、標本平均を集めれば正規分布の形になるのです。
もうひとつ、よく扱われるのが「標本比率の標本分布」です。
標本の中で、ある条件を満たす要素の割合が標本比率p̂(ピー・ハット)です。
標本100人中42人が支持と答えたら、p̂=42/100=0.42になります。
標本比率も標本のとり方で値が変わる確率変数。だから標本分布があります。
母比率をp、標本サイズをnとすると、E(p̂)=p、V(p̂)=p(1−p)/n です。
期待値は母比率と一致し、nが大きいほどばらつきが小さい…標本平均と同じ構造ですね。
「全国2,000人を対象に世論調査」というニュース、聞いたことがありませんか。
p≒0.5、n=2000なら、標準偏差は√(0.5×0.5/2000)≒0.0112です。
つまり±1.1%程度の誤差で、母比率を推定できるということです。
日本国民1億人が相手でも、2000人の標本で実用的な精度が得られるのです。
さえ2000人だけで±1.1%の精度が出るなんて、統計学の力を感じるよね!
では「統計的な推測①」のシリーズをまとめましょう。
統計的推測は「標本から母集団を推測する」営みで、推定と仮説検定の2つがありました。
母平均μ⇔標本平均x̄、母比率p⇔標本比率p̂は必ず区別する、という話もしましたね。
標本平均・標本比率は確率変数で、その確率分布が標本分布。これが本シリーズの核心です。
次回は『区間推定』。標本分布の性質を使って、誤差を含めた推定を行う方法を学びます。
さえパラメータと統計量の区別、標本分布の考え方…この土台があれば大丈夫。次は『区間推定』、お楽しみに!
