前回、母集団パラメータと標本統計量の違いを学びました。
ここから、本章でもっとも大切な発想に入ります。
母集団から標本を取り、その標本平均x̄を計算するとします。
この作業を何度も繰り返すと、毎回違う標本平均が出てきます。
例えば日本人男性100人を無作為に選んで、身長の平均を計算します。
今日選んだ100人と、明日選んだ100人で、平均がぴったり同じになることはまずありません。
標本平均は、標本のとり方によって値がバラバラに変わるのです。
3回標本を取った例です。x̄はそのたびに違う値になっていますね。
標本のとり方によって値が変わる…これは「確率変数」そのものですね。
標本平均x̄は、確率変数です。標本のとり方によって値が確率的に変動するからです。
さえ「計算した平均が確率変数?」って最初は不思議だよね。標本の取り方が無作為だからこそ、結果も確率的に変わるんだよ。
標本平均が確率変数なら、当然その確率分布を考えたくなります。
これが「標本分布」です。
標本分布とは、標本統計量(標本平均や標本比率など)の確率分布のことです。
標本平均なら「標本平均の標本分布」、標本比率なら「標本比率の標本分布」と呼びます。
標本ごとに変わる統計量を、確率変数として捉えた、その分布…これが標本分布の意味です。
では、なぜ標本分布が大切なのでしょうか。
それは、母集団の真の値からどれくらいズレる可能性があるか、確率で捉えられるからです。
「100人の標本平均が170.5cm」だけでは、母平均がどれくらいズレているかわかりません。
でも標本分布のばらつきの幅がわかれば、「だいたいこの範囲にあるだろう」と誤差を含んだ推定ができます。
これが次回の「区間推定」、そしてその後の「仮説検定」の土台になります。
さえ標本平均が確率変数で、その分布が標本分布。ここがピンと来れば、この先がぐっと楽になるよ!
次回は、標本平均・標本比率の標本分布の性質を、数式とともに見ていきます。
