仮説検定シリーズ、第3話です。棄却域の「置き方」を変える2つの検定を学びます。
前回見た、棄却域を両端に置く形が「両側検定」でした。
両側検定は、対立仮説H1が「等しくない(≠)」のときに使います。
コインの例です。H0:p=0.5、H1:p≠0.5(大きいかもしれないし小さいかもしれない)。
左右両方に棄却域を取るので、α=5%なら左右に2.5%ずつ分けます。
もう1つの形が「片側検定」です。対立仮説H1が「>」か「<」のときに使います。
新薬の例です。H0:μ=100(従来薬)、H1:μ>100(新薬は従来より効果が大きい)。
「従来より効くか?」を判定する場面ですね。片側だけに5%全部を割り当てます。
使い分けは「対立仮説が方向を持つか」で決まります。
「等しくない」なら方向を問わないので両側検定。「>」「<」なら片側検定です。
境界値(z値)も変わります。両側検定(α=5%)は±1.96でした。
片側検定(α=5%)は片側に5%全部を割り当てるので1.645(またはマイナス1.645)です。
さえ片側検定は、境界がどちらか一方に寄るんだね!図のとおり、5%が片方に全部集まるよ。
では、ここまでの要素を組み合わせて「仮説検定の5ステップ」を整理しましょう。
①仮説を立てる。帰無仮説H0と対立仮説H1を明確にします。
②有意水準αを決める。慣例的にα=5%が標準です。
③棄却域を決める。両側なら±1.96の外側、片側なら±1.645の外側。
④検定統計量を計算する。標本データから標準化したZ値などを求めます。
⑤判定する。棄却域に入れば「H0を棄却」、入らなければ「H0を棄却できない」。
具体例で解いてみましょう。「コインを100回投げたら表が62回」。公平と言えるか、α=5%で検定します。
①仮説:H0はp=0.5(公平)、H1はp≠0.5(公平でない)。「等しくない」なので両側検定です。
②有意水準:α=0.05。③棄却域:|Z|>1.96。
④検定統計量:H0が正しいとすると、標本比率の標準偏差は√(0.5×0.5÷100)=0.05。
標本比率p̂=62÷100=0.62を標準化すると、Z=(0.62-0.5)÷0.05=2.4。
⑤判定:|Z|=2.4は1.96より大きいので棄却域に入っています。よってH0を棄却します。
「このコインは公平でないと言える」が結論です。
もし表が55回(Z=1.0)だったら、棄却域に入らず「公平でないとは言えない」となっていました。
さえ62回はギリギリ「珍しすぎる」と判定されたんだね!5ステップ、しっかり身についたかな?
次回はいよいよ、仮説検定の注意点と、3級講座のフィナーレを迎えます。
