前回は、3級の中心となる単純無作為抽出法を学びました。
今回は、実務でよく使われるほかの4つの抽出法を紹介します。
3級の出題範囲を少し超えますが、統計の世界がぐっと立体的に見えてきます。
1つ目は、系統抽出法(けいとうちゅうしゅつほう)です。
最初の1人だけランダムに選び、あとは一定間隔で機械的に選ぶ方法です。
等間隔抽出法とも呼ばれます。
1,000人から100人を選ぶ例で見てみましょう。抽出間隔は1,000÷100=10です。
まず1〜10の中からランダムに1つ選びます。ここでは3としましょう。
あとは3、13、23、33、43…と10おきに選んでいけば、100人そろいます。
メリットは実施が簡単で、母集団リスト全体に均等に標本が散らばること。
注意点は、母集団に周期的なパターンがあると、抽出間隔と重なって偏りが出ることです。
さえ系統抽出は「最初だけランダム、あとは規則的」っていう発想がおもしろいよね!
2つ目は、層別抽出法(そうべつちゅうしゅつほう)です。
母集団をいくつかのグループ(層)に分けて、それぞれの層から無作為抽出する方法です。
性別・年代・地域など、意味のある基準でグループ分けをします。
全国民1億人から1,000人を選ぶ世論調査なら、まず地域別に層分けします。
そして各地域の人口比に応じて、それぞれの層から無作為抽出します。
関東が人口の3割なら300人、北海道が4%なら40人、という具合です。
少数派の声も確実に反映できるのが、層別抽出法の強みです。
3つ目は、多段抽出法(ただんちゅうしゅつほう)です。
母集団を段階的にしぼり込みながら無作為抽出する方法です。
全国の小学6年生の学力調査なら、まず市区町村を100か所無作為抽出。
次にその中から小学校を3校ずつ、さらにクラスを1つずつ無作為抽出します。
母集団全員のリストがなくても調査できるのが、多段抽出法の強みです。
4つ目は、集落抽出法(しゅうらくちゅうしゅつほう)、クラスター抽出法とも呼ばれます。
母集団を小さな集落に分け、いくつかの集落を無作為抽出し、その全員を調査する方法です。
市内の小学校から5校を無作為抽出し、その5校の全児童を調査する、という具合です。
実地調査の範囲を絞れるので、コストと時間を大きく節約できます。
ただし同じ集落内は似た人が多く、無作為性が下がる傾向があります。
さえ名前がいろいろ出てきたけど、3級では「単純無作為抽出」さえ押さえればOK!ほかは雰囲気をつかもう。
次回は、これら5つの抽出法の使い分けと、第8章全体のまとめをします。
