前回は、実験研究の基本セットアップ「処理群」と「対照群」を学びました。
ここでは、比較をさらに厳密にする工夫「プラセボ」を紹介します。
プラセボとは、有効成分を含まない、見た目だけ薬と同じもの、いわゆる偽薬のことです。
色・形・味・大きさは本物と区別がつかないように作られています。中身は薬理効果のない物質です。
なぜ、わざわざ偽薬を作るのでしょうか。
「薬を飲んでいるという気持ち」だけでも症状が改善することがあるからです。プラセボ効果と呼びます。
本物の新薬を処理群に、何も投与しない人を対照群にして比較したとします。
処理群のほうが改善しても、薬の効果か、心理的な安心感による改善かが区別できません。
そこで対照群には、見分けがつかないプラセボを投与します。
処理群は「薬の効果+心理的効果」、対照群は「心理的効果のみ」になります。
両者の差を比較すれば、純粋な薬の効果だけを取り出せるわけです。
さらに厳密にする工夫が、二重盲検法です。
患者だけでなく、投与する医師にも、本物かプラセボか知らせない方法です。
医師が「これは本物」と知っていると、患者への接し方に無意識のバイアスが入ってしまうからです。
さえ「気持ちの効果」と「実際の効果」を切り分けるなんて、人間の心の影響まで考えてて奥深いよね!
続いて、実験研究を信頼できるものにする「フィッシャーの三原則」を見ていきます。
提唱者は、回帰分析の歴史にも登場した統計学者ロナルド・A・フィッシャーです。
農業実験の現場で確立した、3つの原則が知られています。
1つ目は局所管理です。実験条件のうち、本来興味のない条件をそろえることです。
例えば肥料の効果を調べるなら、土壌や日当たり、水やりの量を揃えます。
2つ目は無作為化です。サンプルをどのグループに入れるか、ランダムに決めることです。
症状が軽い人を処理群、重い人を対照群と分けたら、結果は最初から偏ってしまいます。
3つ目は繰り返しです。同じ条件での実験を、複数回や複数のサンプルで行うことです。
1回だけの実験では偶然の影響を排除できません。繰り返すことで結果の信頼度が高まります。
さえ5-3で出てきたフィッシャー、ここでも登場!100年前のアイデアが今も全分野で使われてるんだよ!
次回は、実験研究と観察研究の使い分けと、このシリーズのまとめを学びます。
