前回、分散と標準偏差を学びました。最終話は、aX+bに変換したときの性質です。
気温を℃から℉に変えたり、模試の点数を偏差値に変えたり。実務でもよくある変換です。
まず期待値の性質。E(aX+b)=a×E(X)+b。
期待値は変換とそのまま同じように動きます。Xを2倍して3を足せば、期待値も2倍して3を足すだけ。
次は分散の性質。V(aX+b)=a²×V(X)。
ここで気をつけたいのは2点。①bは消える②aは2乗される、です。
bを足すのはデータ全体を「ずらす」だけ。ばらつきの幅は変わらないので、分散に影響しません。
aを何倍かすると、ばらつきもa倍。分散は「ばらつきの2乗」なので、a²倍になります。
標準偏差の性質はσ(aX+b)=|a|×σ(X)。
分散の平方根が標準偏差なので、a²の平方根=|a|(絶対値)が掛かります。bは影響しません。
具体例です。E(X)=50、V(X)=100、σ(X)=10とし、Y=2X+30とします。
期待値:E(Y)=2×50+30=130
分散:V(Y)=2²×100=4×100=400
標準偏差:σ(Y)=|2|×10=2×10=20
定数の30は分散・標準偏差に影響せず、期待値だけを動かしました。
模試の「偏差値」も、aX+bの発想で作られています。
偏差値=(X−平均)÷標準偏差×10+50という式で、これもaX+bの形です。
さえ「aX+b」って響きは硬いけど、やってることは「b無視、aは2乗」ってだけ!覚えやすいよ。
では試験形式で1問。Xの標準偏差5、分散25。Y=2X+3のとき、標準偏差と分散は?
標準偏差:σ(Y)=|2|×5=10 分散:V(Y)=2²×25=100
定数の+3は無視。標準偏差は2倍、分散は4倍と素早く判断できるようにしましょう。
ここで、第3章の「データの平均・分散・標準偏差」との関係を整理します。
対象は「観測したデータ」か「これから起こる確率変数」かの違いだけです。
中心を測るのが平均・期待値、ばらつきを測るのが分散・標準偏差。呼び方が変わるだけです。
計算の重みも、データでは「等しく」、確率変数では「確率を重みに」という違いだけです。
aX+bの性質は、どちらの世界でも同じように成り立ちます。
さえ期待値・分散・標準偏差、この3話でしっかり整理できたね!記号にビビらず手順で覚えよう!
期待値は重み付き平均、分散はばらつきの2乗の期待値、標準偏差はその平方根でした。
次は『二項分布と正規分布』を学びます。統計学の主役級の分布に出会う回です。
