ここまで学んだことを、実際の統計データで確認してみましょう。
総務省統計局が公表している、2021年の「世帯の貯蓄現在高の階級別分布」です。
横軸は貯蓄現在高(標準級間隔100万円)、縦軸は世帯の割合(%)です。
各階級の柱の高さが、その階級にあてはまる世帯の割合を表します。
もっとも多い階級は「100〜200万円」で10.5%。低い貯蓄帯に世帯が集中しています。
右にいくほど柱が低くなる傾向。貯蓄が多い世帯ほど少ない、ということです。
ところが「4000万円以上」の階級だけは、12.8%と突出して高くなっています。
少数ですが、多額の貯蓄を持つ層が一定数いることがわかります。
この右端の柱は階級幅が広いため、他の柱と単純に高さで比べられません。
この分布の形は「右に裾が長い分布」と呼ばれます。
多くの世帯は貯蓄が少ない側に集中し、少数の世帯が貯蓄の多い側に長く広がっています。
年収・財産・売上など、経済データの多くがこの形をとります。
この図には、平均値1,880万円と中央値1,104万円という2つの代表値が示されています。
同じ「真ん中の値」のはずなのに、なぜこんなに違うのでしょうか。
答えは、まさに分布の形にあります。
右側に長く伸びた裾(4000万円以上の世帯)が、平均値を大きく引き上げます。
一方、中央値(人数の真ん中)はそれほど影響を受けません。
分布が左右対称でないとき、平均値と中央値はずれる。これは第3章で学習していきます。
さえヒストグラムを読めるようになると、ニュースの「平均年収」とかにも惑わされなくなるよ。
さえ形を見れば、「ほんとうの真ん中」が見えてくるからね!
ヒストグラムは「データの形」を見る道具です。平均だけでは見えない傾向が読み取れます。
「平均1,880万円」とだけ答えるより、「中央値は1,104万円だが、上位層が押し上げている」の方が正確です。
では、今回のポイントを整理しておきましょう。
ヒストグラムは、量的変数の度数分布を、隙間なくつなげた柱で表現するグラフです。
棒グラフとの違いは、扱う変数(質的か量的か)と、棒の間隔(離すかつなげるか)でした。
度数分布多角形は、階級値の点を線で結ぶグラフ。複数の分布の比較に強いのでした。
階級数の目安はスタージェスの公式など。一般的には5〜15階級が使われます。
階級幅は(最大値−最小値)÷階級数を、キリのよい数字に丸めて使うのでした。
そして、分布の形を見ることで、平均値だけでは見えない傾向がつかめるのでした。
次は『分布の特徴の把握』を学びます。山の形、左右の偏り、裾の伸び方を、もう一歩深く整理していきましょう。
