ヒストグラムを描く目的の中でも、もっとも実務的に役立つのが「グループに分けて見る」という発想です。
専門用語では層別(そうべつ)と呼ばれます。
データをいくつかのグループに分けてヒストグラムを描き直すと、全体だけでは気づかないことが見えてきます。
例えば、40人のクラス全員の身長を測って、ヒストグラムを作ったとします。
すると山が2つある形が現れました。1つは160cm前後、もう1つは175cm前後です。
これは二峰性(にほうせい)の分布と呼ばれる形です。
ちなみに、山が1つの場合は単峰性(たんほうせい)と言います。
この「2つの山」の正体は何でしょうか?
試しに、データを男女別に分けてグラフを描き直してみます。
すると、もともとあった2つの山は、男女2つの分布が重なってできていたことが見えてきました。
それぞれを切り離して見ると、女子は左寄りの単峰性、男子は右寄りの単峰性でした。
どちらも、普通の左右対称に近い形をしています。
この例から、大事なメッセージが見えてきます。
全体だけ見ると「身長は150〜185cmに広く散らばっている」としか言えません。
男女別に見ると「女子は155〜170cm、男子は165〜185cm」と、ぐっと具体的になります。
「全体の平均170cm」より「女子162cm、男子175cm」のほうが、はるかに使える情報です。
これが層別の力です。
一見ひとつの集団に見えるデータも、性質の違うグループが混ざっていることがあります。
分けて見ることで、全体では見えなかった本質が浮き上がるのです。
さえ「全体の平均」って、便利だけど大ざっぱ。グループに分けて見ると、もっと役立つ事実が見えてくるんだ!
層別の発想は、ビジネスや研究の現場でとても役立ちます。
店舗の売上を「曜日別・時間帯別」に分けると、ピーク時間が判明します。
顧客の購買額を「年代別・性別」、不良率を「工場別・ライン別」で分けると、原因が見えてきます。
ヒストグラムが不自然な形(山が2つ、谷がある、極端な偏り)に見えたら要注意です。
「2つ以上の集団が混ざっているのでは?」と疑ってみましょう。
グループに分けて描き直すと、新しい発見が見つかるかもしれません。
それでは、今回のポイントを整理しておきましょう。
ヒストグラムの目的:分布の中心・ばらつき・形・外れ値を一目で把握すること。
左右対称:山が真ん中。右の裾が長い:山が左、右に長い尾。
左の裾が長い:山が右、左に長い尾。層別:分けると新しい発見がある。
ヒストグラムは「描いて終わり」ではなく、「形を読む」「分けて見る」ところまでが重要です。
次は『分位数と5数要約』を学びます。ヒストグラムを、数値で要約する方法に入っていきます。
