箱ひげ図の3話目、そして第2章の最終回です。今回は「注意点」を学びます。
ここまで箱ひげ図の便利さを見てきましたが、実は大きな限界もあります。
それは「分布の形(山の数)が見えない」という弱点です。
箱ひげ図は5つの数字(最小・Q1・中央・Q3・最大)だけで描かれています。
だから、もし2つのデータがたまたま同じ5数要約を持っていたら、箱ひげ図はそっくりに見えます。
でも、その元になっているヒストグラムの形は、まったく違うことがあるのです。
たとえば、ふつうの一山の分布(単峰性)と、山が2つに分かれた分布(二峰性)を考えましょう。
この2つは、ヒストグラムで見るとまったく別物です。単峰性は中央に1つの山があります。
二峰性は左右に2つの山があり、中央に谷があります。
ところが、両者の5数要約はほぼ同じになることがあります。
だとすると、両者の箱ひげ図は、ほぼ同じ形になってしまうのです。
箱ひげ図だけ見ていると、これが二峰性だとは気づけません。
理由はシンプルです。箱ひげ図が使うのは5つの数字だけ。間の分布は教えてくれません。
「箱の中」も「ひげの中」も、その中身がどんな形かは箱ひげ図からは見えないのです。
さえ箱ひげ図は便利だけど、万能じゃないんだね。「同じ箱ひげ図でも、中身は別物のことがある」って覚えておかないとね。
この弱点を補う方法はシンプルです。箱ひげ図とヒストグラムをセットで見ることです。
ヒストグラムで分布の形(山の数、対称性、谷の有無)を確認します。
箱ひげ図で代表値とばらつき、外れ値を確認します。
2つを並べてはじめて、データの全体像が見えてくるのです。
もしひげが特に長かったり、IQRに対してレンジが極端に広かったりしたら要注意です。
「別の集団が混ざっているのでは?」と疑って、ヒストグラムも確認する習慣をつけましょう。
箱ひげ図は「サマリーグラフ」。1つの道具で全部わかる、便利すぎることは統計にはありません。
さて、ここで箱ひげ図3話分のポイントを整理しておきましょう。
箱の高さはIQR、箱の中の線は中央値、ひげの先は最大値・最小値でしたね。
並列箱ひげ図は、複数グループの比較に最強の道具でした。
そして今回学んだ注意点。箱ひげ図は山の数を見抜けない。ヒストグラムと併用が基本です。
ここまでで、第2章「量的変数の要約方法」が完了です!
度数分布表からスタートし、ヒストグラムと度数分布多角形で分布の形を捉えました。
そこから分布の特徴、分位数と5数要約、データの散らばりへと進みました。
そして今回、5数要約を1つの図にまとめる箱ひげ図まで、たどり着きました。
量的データを「見える形」にするための道具を、これで一通り揃えたことになります。
次章では、データを1つの数字で代表させる方法、代表値と散らばりの数値表現を学びます。
平均値・中央値・分散・標準偏差など、統計の中心となる概念が登場します。お楽しみに。
さえここまで37話、ずっと続けてきた自分をちゃんと褒めてあげてね。「箱ひげ図はヒストグラムとセットで見る」が合言葉だよ!
