統計検定3級|流し読みレッスン 第19話

時系列グラフの注意点 ③ 対数変換でわかること

さえちゃん
さえ

今回は対数変換で時系列データの何が見えるようになるかを学ぶよ。これで第1章もラストスパート!

文字が少しずつ流れてくるから、クリック(タップ)かEnter、→キーで読み進めてね。←キーを押せば、一つ前まで戻れるよ。途中の【記憶タイム】では、紙とペンで用語を書いてみよう! Escキー(または「中断」ボタン)で、いつでも手を止められるよ。

予想学習時間:約3

Enter キーでも開始できます

第19話

時系列グラフの注意点 ③ 対数変換でわかること

0 / 35
速さ
統計検定3級|流し読みレッスン 第19話

時系列グラフの注意点 ③ 対数変換でわかること

対数の基本がわかったところで本題です。時系列データに対数変換を施すと、どんなメリットがあるのでしょうか。

大きく分けて3つの効用があります。順番に見ていきましょう。

効用1は「桁の違うデータを同じグラフで比較できる」ことです。

会社Aは1万円→2万円→4万円→8万円、会社Bは100億円→200億円→400億円→800億円、どちらも毎期2倍とします。

通常の目盛りでは会社Bの急増に隠れ、会社Aの成長が見えなくなる折れ線グラフ― A社(万円)― B社(万円)1期2期3期4期(売上(万円))

通常の折れ線グラフでは、会社Bの線の中で会社Aは横軸に張りついた一本線になり、比較できません。

ここで対数変換の出番です。対数で見ると、両社の売上はどちらも等間隔の階段状になります。

対数目盛りでは会社Aと会社Bが同じ傾きの階段状に重なって見える折れ線グラフ1101001,00010,000100,0001,000,00010,000,000― A社(万円)― B社(万円)1期2期3期4期(売上(万円))

「成長率の比較」がフェアにできるようになるのです。絶対額が大きく違う指標を比べたいときに便利です。

対数目盛りにした上のグラフの通り、両社の伸びを同じ傾きで比較できます。

効用2は「指数関数的な成長が直線に見える」ことです。

毎期30%ずつ増えるデータを通常の目盛りで描いた折れ線グラフ。初期はほぼ平らで、後半に急激に立ち上がる1期5期10期12期(指標値)

指数関数的な成長とは「毎期一定の割合で増える」現象のこと。毎年5%伸びる売上などが当てはまります。

これを通常のグラフで長期間描くと、上のように初期はほぼ平ら、後半に急激にカーブが立ち上がる形になります。

ところが縦軸を対数にすると、この同じデータがきれいな直線になります。

同じデータを対数目盛りで描いた折れ線グラフ。毎期一定割合の増加が、きれいな直線に見える1101001期5期10期12期(指標値)
【記憶タイム】
指数関数的成長
(しすうかんすうてきせいちょう)
毎期一定の割合で増える現象。対数軸だと直線に見える
✍ 紙に3回書いてみよう

「毎期一定の割合で増えている」ことが、傾きの一定さで一目でわかるようになるのです。

同じデータを対数目盛りで描いた折れ線グラフ。毎期一定割合の増加が、きれいな直線に見える1101001期5期10期12期(指標値)

長期の株価チャートやGDPの推移を対数で描くと、成長率が変わった節目も読み取れます。

効用3は「変化の質」が読みやすくなることです。

通常の折れ線グラフは、値が大きくなるほど同じ%の変動でも振れ幅が大きく見えてしまいます。

通常の目盛りでは株価Bの上昇のほうが大きく見えてしまう折れ線グラフ(どちらも10%上昇)― 株価A(円)― 株価B(円)上昇前上昇後(株価(円))

株価が100円→110円になるのも、10,000円→11,000円になるのも、どちらも「10%の上昇」です。

でも通常のグラフでは後者のほうが大きな出来事に見えます。対数グラフでは同じ高さの上昇として表現されます。

対数目盛りでは同じ10%上昇が同じ高さで表現される折れ線グラフ1001,00010,000100,000― 株価A(円)― 株価B(円)上昇前上昇後(株価(円))

対数変換は「絶対値の比較」から「変化率(割合)の比較」へ視点を切り替えてくれるのです。

さえ

株価の長期チャートとか、ニュースで「対数目盛で見ると...」って表現を見かけたら、これのことだよ!「割合で比較したい」ときに使う、ってだけ覚えておけばOK。

ただし対数変換は万能ではありません。使うべき場面と使わないほうがよい場面があります。

桁が大きく異なるデータの比較や、長期の指数関数的成長を見るときには適しています。

一方、絶対値の差そのものを見せたい場合や、0や負の値を含むデータには適しません。対数が定義できないのです。

【記憶タイム】
対数目盛
(たいすうめもり)
軸を対数で取ったグラフ。桁違いのデータや変化率の比較に使う
✍ 紙に3回書いてみよう

一般読者に直感的に伝えたい場合も、慎重に。対数グラフは知らない人には誤読されやすい表現方法です。

プレゼンや報告書で使うときは「これは対数目盛です」とひとこと添える配慮も大切です。

さえ

対数グラフって便利だけど、知らない人には「なんで右肩下がりに見えるのに増えてるの?」って混乱されちゃう。誰に見せるかで、使い分けるのが大人のグラフ術です。

では、今回のポイントを整理しましょう。

時間軸は等間隔が大原則。欠損があっても時間そのものは飛ばしません。

対数は「掛け算を足し算に変える道具」。10倍が「+1」、100倍が「+2」でしたね。

対数変換のメリットは3つ。桁の違う比較、指数関数的成長の直線化、変化率の比較の公平化です。

対数は万能ではなく、0や負の値には使えず、読み手によっては誤解を生むこともあります。

対数の概念は最初は誰でも戸惑いますが、腑に落ちると「対数目盛」という表現がすっと読めるようになります。

これで第1章はおしまいです。本編の「第1章の確認問題」にも挑戦してみてください。