探索的データ解析法と外れ値、最終話です。今回は第3章の完結でもあります。
ここまで数値による要約を学んできましたが、本当のEDAはこれで終わりません。
要約統計量とグラフを両輪として組み合わせること。これが今回いちばんのメッセージです。
要約統計量には、実はいくつかの「見落とし」があります。
分布の形(左右対称か、偏っているか、山がいくつあるか)が見えません。
外れ値の位置や数も、数値だけでは直感的につかめません。
層別による違い(男女差、地域差など)も、数値だけでは見えてきません。
「平均と中央値が近いから対称」と思っても、実は二峰性だった、ということもあります。
数値が同じように見えても、グラフにすればまったく違う形だとすぐわかります。
さえ数字はウソをつかないけど、全部を語ってくれるわけでもないんだね。
だからこそ、EDAには実践フローがあります。5つのステップで整理しましょう。
①要約統計量で「ぱっと見」をつかむ。平均・中央値・標準偏差・5数要約からです。
②ヒストグラムで分布の形を確認する。山の形、対称性、谷の有無を見ます。
③箱ひげ図で外れ値の位置を確認する。中央50%とひげ、点で示される外れ値です。
④必要に応じて層別する。男女別、年代別、地域別などに分けて比べます。
⑤パターンを発見し、仮説を立てる。気づいたことをメモに残しましょう。
「数字を見る→形を見る→違いを見る」という流れを、習慣にするのが目標です。
第3章の数値と、第2章のグラフは、実はぴったり対応しています。
平均値・最頻値はヒストグラムの重心や山の頂上に対応します。
中央値・5数要約は箱ひげ図の中央線・箱・ひげに対応します。
外れ値は、箱ひげ図のひげの外側にある点として現れます。
第2章と第3章、両方を学んだあなたは、数値でも形でもデータを読めるはずです。
さえグラフと数値、どっちか一方じゃなくて、両方を行き来するのがコツだよ!
さて、第3章「1変数データの分析」のポイントを整理しましょう。
EDAは、分析の前にデータの素顔を観察する活動でした。
外れ値は、Q1-1.5×IQR未満、またはQ3+1.5×IQR超の値で判定します。
頑健な統計量(中央値・IQR)と、頑健でない統計量(平均・標準偏差)を使い分けます。
そしてEDAの本質は、グラフと数値を両輪として、データと対話することです。
第3章は、代表値からスタートし、分散・標準偏差で散らばりを測りました。
続いて標準化でzスコア・変動係数を学び、最後にEDAで全体を統合しました。
データを1つの数字で代表させる技術が、これでひととおり揃いました。
次章からは、2つの変数の関係を読み解く「2変数データの分析」に進みます。
ここまで鍛えた「1つの変数を読む力」が、次章では「関係を見る力」に育っていきます。
さえここまで本当によく頑張ったね!次はついに2つの変数の関係を見る章に進むよ。楽しみにしててね!
