第3章もいよいよ最終シリーズ。今回から3話で「探索的データ解析法と外れ値」を学びます。
統計学者ジョン・テューキーが提唱した「EDA」という考え方から始めましょう。
EDAは「Exploratory Data Analysis」の略で、探索的データ解析と訳されます。
本格的な分析の前に、データの素顔をまず観察する。それがEDAの本質です。
実は、第2章で学んだ箱ひげ図を考案したのも、このテューキーです。
さえ「データに語らせる」がテューキーの哲学。まずは仲良くなる時間だと思えば気楽だよ!
EDAには、大きく5つの目的があります。順番に見ていきましょう。
①分布の形・中心・ばらつきなど、データの全体像をつかむこと。
②分析結果を歪めかねない、外れ値や異常値を発見すること。
③層ごとの違いや時間的な傾向など、パターンを見つけること。
④「ここに違いがありそう」という、仮説を立てる材料を集めること。
⑤データの形に応じて、適切な分析手法を選ぶこと。
EDAをサボると、外れ値や二峰性に気づかず、誤った結論を出しかねません。
さえEDAはデータ分析の最初の一歩。でも実は、いちばん大事なステップなんだよ。
では、EDAの第一歩「要約統計量」で、データの全体像をつかんでみましょう。
これまで学んだ指標を、目的別に一度整理しておきます。
中心を知るなら平均値・中央値・最頻値。広がりを知るならレンジやIQRです。
散らばりの大きさは分散・標準偏差。分布の輪郭は5数要約でつかめます。
規模を越えた比較にはzスコアや変動係数。ここまでの第3章の総復習ですね。
例えば、あるクラス40人の身長データから、こんな要約統計量が得られたとします。
平均値165cm、中央値163cm、最頻値162cm。近い値が並んでいます。
標準偏差は7cm、最小150cm・最大185cm、Q1は158cm・Q3は170cmでした。
この数字だけで、実はいくつものことが読み取れます。
平均と中央値が近いので、左右対称に近い分布かもしれません。
標準偏差7cmなので、およそ158〜172cmにデータが集中していそうです。
最大値185cmは平均から3標準偏差近く離れており、外れ値の可能性があります。
IQRは12cm。中央50%の人は、この12cmの幅に収まっています。
たった数個の要約統計量から、これだけのストーリーが見えてくるわけです。
さえ数字を並べて眺めるだけで、データの「あらすじ」が見えてくるんだね。面白い!
