Lesson 031 – 自動保存について

Lesson031 に入る前に、少し昔話をさせてください。

それは Excel 2007 が登場した頃のことです。当時の OS は Windows Vista（ビスタ）というバージョンで、この OS に合わせた Office 製品が 2007 でした

この 2007 バージョン、作業中に何度もフリーズしてしまい、使うたびに苛立ちを感じていました。「やっぱり安定の 2003 が一番だ！　」という声をよく耳にしたものです。

Windows Vista も、文字主体だった前身の XP から、視覚的操作を重視した設計に変わり、アイコンだらけの画面に戸惑うユーザーが多く、全体的にストレスの多い移行期となりました。

そんな中で、もう一つ大きな変化がありました。

それが、Excel のファイル形式の変更です。ファイルの拡張子が .xls から .xlsx へと変わり、ファイルサイズが軽くなり、エラーにも強くなったとの公式発表です。

……とはいえ、あの頻繁なフリーズを見ると「本当に安定性が上がったのか？」と、疑問に感じたのも、正直なところでした。

それから月日が流れ、今の Microsoft 365 の Excel では、フリーズすることもほとんどなくなり、格段に安定性が向上しました。

一体、あのときの不安定さは何が原因だったのでしょうね。

それでは、本題に入りましょう。

今回のテーマは、「自動保存」機能のタイミングと保存先についてです。

ここで扱うのは、OneDrive などクラウド上でのバージョン管理つき自動保存ではなく、ローカルで作業しているときに役立つ自動保存の設定です。

Excel は、まだまだローカル作業が中心という方も多いですよね。

だからこそ、突然のフリーズや強制終了に備えて、「自動保存がどうなっているのか」を知っておくことはとても大切です。では、設定を確認してみましょう。

Excelの [ファイル] タブの「オプション」をクリックしてください。

Excelのオプション、左側のリストから「保存」をクリックします。

自動保存のタイミングは「10」分が初期設定です。

つまり、フリーズした時間が 9分59秒 以内の場合は水の泡となり、10分00秒 以降はそのタイミングで１回裏側に保存される、という仕組みになっています。

この自動保存は、次の場所に保存されています。

AppData は「隠しフォルダ」となっているため、エクスプローラーの「表示」タブにある、隠しフォルダにチェックを入れておかないと、到達することはできません。

〇 Windows 10の場合

〇 Windows 11の場合

つまり、自動保存を「10分」に設定していると、 Excel のローカル操作中に問題が生じたとき、このフォルダーに自動的に保存されるということです。

設定された間隔（たとえば 10分 ）を過ぎると、そのタイミングでバックアップ用保存ファイルがこのフォルダーに生成されます。

ただ、ここに生成されたファイルを開くというわけではありません。

万一、フリーズして強制終了してしまった場合でも、Excel を再起動すると、左側に「ドキュメントの回復」という欄が出現します。

そこから直前に自動保存されたファイルを復元できるのです。便利ですよね。

個人的には、自動保存の間隔は「5分」がおすすめです。

初期値の「10」分間というのは、意外と操作量が多くなってしまうため、「5」分ごとの自動保存のほうが安心感があります。

心配性の方は「1」分と設定したくなると思いますが、PCに無駄な力を使わせないためにも、さすがに毎分間隔の設定は控えておきましょう。

なお、この設定は Excel 終了後も有効ですので、一度設定すれば、次回起動時以降にも反映されます。

この設定が、いつかの救いになりますからね。ぜひ、まだ本格的に Excel を触っていないいまのうちにチェックをしておいてください。

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榊 裕次郎

Excel講師

1981年10月生まれのてんびん座、東京都出身。趣味は、旅行と料理とワイン。2025年、万博が大いに盛り上がるためにもがんばっていきます！

引き続き、青森・秋田・岩手でのお仕事ご依頼、お待ちしております！