同じネットワークに10台のPCがつながっているとき、スイッチは「どれが誰宛のデータか」を、何を見て区別していると思いますか?
名前? 番号? 何か機器を一意に識別するものが必要そうですよね。少し考えてから読み進めてください。
MACアドレス ― 機器に刻まれた製造番号
ネットワーク内で「どの機器宛か」を区別するために使われるのがMACアドレスです。すべてのネットワーク機器(PCのLANポート、スマホのWi-Fi、ルーターなど)に、製造時から1つずつ割り当てられています。
イメージは、機器の「世界に1つだけの製造番号」。スマホのシリアル番号や、車の車台番号を思い浮かべてください。原則として世界中で重複しない、変わらない番号。これがあるから、同じネットワーク内で「あなた宛」「私宛」を区別できます。
MACアドレスの形
MACアドレスは48ビット(6バイト)。なお「バイト」とは情報量の単位で、1バイト=8ビット。48ビットは8で割って6バイト、というわけです。これを16進数2桁ずつ、6つに区切って表記します。前半3バイトと後半3バイトで、意味が分かれています。
| 部分 | 例 | 意味 |
|---|---|---|
| 前半3バイト | 00:1A:2B | OUI(メーカー識別番号)。先頭を見ればメーカーが分かる |
| 後半3バイト | 3C:4D:5E | そのメーカーが機器ごとに付ける固有番号 |
表記は「00:1A:2B:3C:4D:5E」のようにコロン区切りが一般的です(ハイフン区切りもあります)。前半を見るとメーカーが分かり、後半でその中の個体が特定できる——という二段構えになっています。
どの階層で使うアドレスか
ここが重要です。MACアドレスはL2(データリンク層)で使うアドレスです。前章で学んだ「スイッチ=L2」を思い出してください。スイッチはMACアドレスを見て、データを正しい相手に届ける機器なのです。次回学ぶフレームの中で、このMACアドレスがどう使われるかを見ると、スイッチの賢さの正体が見えてきます。
説明だけではピンと来ないので、あなたのPCのMACアドレスを実際に見てみましょう。
Windowsの場合:スタートメニューで「cmd」と入力してコマンドプロンプトを開き、ipconfig /all と入力してEnter。
Macの場合:「ターミナル」アプリを開き、ifconfig と入力してEnter。
Windowsなら「物理アドレス」、Macなら「ether」と書かれた欄に、00-1A-2B-3C-4D-5E のような6組の英数字が並んでいます。それが、いま使っているあなたのPCの、世界に1つだけのMACアドレスです。本文で学んだ「6バイト」「前半=メーカー」を、自分の目で確かめてみてください。
MACアドレス「00:1A:2B:3C:4D:5E」のうち、メーカーを識別できるのはどの部分でしょう?
答えを見る
答えは前半3バイト「00:1A:2B」です。この前半部分はOUIと呼ばれ、メーカーごとに割り当てられています。後半3バイト「3C:4D:5E」は、そのメーカーが機器ごとに付ける固有番号です。
「前半=メーカー、後半=機器固有」。この二段構えと、MACアドレスがL2で使うアドレスであることをセットで押さえましょう。
MACアドレス=機器の世界に1つだけの製造番号(48ビット)。前半がメーカー、後半が機器固有。そしてL2で使うアドレス——スイッチが見るのはこれ。次は、そのMACアドレスが入る容れ物「フレーム」を開けてみるよ。
- ビット
- 情報の最小単位。0か1のどちらかを表す
- バイト
- 8ビットをまとめた単位。1バイト=8ビット。MACアドレスの48ビットは6バイト
- 16進数
- 0〜9とA〜Fの16種類で数を表す方法。MACアドレスの表記に使われる
- OUI
- Organizationally Unique Identifier の略。MACアドレス前半3バイトの、メーカーを識別する番号