4つの分析パターン
仮説について、p値についてと学習できました。
そして、ここからいよいよ本格的な分析に入っていきます。その前に、統計学の準備段階で扱った「変数」のおさらいをしておきましょう。
変数には 質的変数 と 量的変数 がありました。この2種類の変数を「原因 × 結果」として組み合わせることで、使える分析手法が4つのパターンに分類される のです。
この記事で学習できること
- カイ2乗検定の分析パターン
- t検定の分析パターン
- 回帰分析の分析パターン
- ロジスティック回帰の分析パターン
こちらの記事では、どのパターンのときにどの分析手法を使うのか? 先にざっくり整理しておきます。
この整理が頭の中に入っていると、後の推測統計が一気に理解しやすくなります。

いよいよ推測統計学に入っていきますよ!
原因と結果となる変数の組み合わせ
以前の記事の再掲となります。2種類の変数を「原因」×「結果」と定義して割り当てると、以下の4つの組み合わせが考えられました。
- 質的変数 × 質的変数
- 質的変数同士の関係を調べるケース
- 性別と新商品案①②③は、それぞれどのような違いがあるか?
- 質的変数 × 量的変数
- 質的変数が原因で量的変数が結果となるケース
- 各地域によって、平均収入が異なるかどうか?
- 量的変数 × 量的変数
- 量的変数同士の関係を調べるケース
- 売上と広告費の関係性があるかどうか?
- 量的変数 × 質的変数
- 量的変数が原因で質的変数が結果となるケース
- スマートフォンの利用時間経過に伴い、購入意欲が出てくるかどうか?
それぞれ、パターン①・②・③・④として説明をしていきます。
① カイ2乗検定
4つの分析の中でも、原因と結果、どちらも質的変数を扱うタイプのパターンです。こちらは カイ2乗検定 を使って分析をしていきます。
① 質的変数 × 質的変数
- 質的変数同士の関係を調べるケース
- 性別と新商品案①②③は、それぞれどのような違いがあるか?
例えば、広告AパターンとBパターンでアクセス数を確かめた際、どちらのほうが効果があったのか? ということを調べる「ABテスト」もこの分析手法です。
詳しくはカイ2乗検定の際にお伝えしますが、割合の差を見る分析手法となります。
ただし、原因も結果も情報量の少ない質的変数を用いるため、結果の読み方は限定的となります。そして何より、このパターンが分析で一番難しいかもしれません。
② t検定
こちらは原因が質的変数で、結果が量的変数となるパターンです。主に平均値を使って差を比べる分析手法となります。
② 質的変数 × 量的変数
- 質的変数が原因で量的変数が結果となるケース
- 各地域によって、平均収入が異なるかどうか?
t検定は、扱うデータによって計算方法が4つも分岐しますので、こちらはExcelを使って解説をしていきますね。
50年近い歴史の中で完成されたt検定。ウィリアム・セーリー・ゴセットさんからスタートした「スチューデントのt検定」より詳しく解説していきます。
③ 回帰分析
売上と広告費のように、「数字 × 数字」の関係を見るときに登場するのが 回帰分析 です。
③ 量的変数 × 量的変数
- 量的変数同士の関係を調べるケース
- 売上と広告費の関係性があるかどうか?
広告費を増やすと売上はどう変わるのか? 身長が伸びると体重も増えるのか? 気温が上がると売上が伸びるのか? こうした 相関 × 予測 の分野を担当します。
量的変数は情報量が多いので、具体的な予測ができる分析です。4つのパターンの中でも、一番未来予測がしやすい分析手法となります。
④ ロジスティック回帰
このパターンはExcelでは求めることができない分析手法です。
④ 量的変数 × 質的変数
- 量的変数が原因で質的変数が結果となるケース
- スマートフォンの利用時間経過に伴い、購入意欲が出てくるかどうか?
Pythonを使って分析の概要をご紹介していきますね。
陽性か陰性かも実はこの ロジスティック回帰 で判断していきます。0~1までの数値の中で、0.5という閾値(しきいち or いきち)を超えたかどうか? という分析手法です。
まとめ
4つの分析パターンは、「原因と結果の変数の組み合わせ」で自動的に決まります。
- 質×質 → カイ2乗検定
- 質×量 → t検定
- 量×量 → 回帰分析
- 量×質 → ロジスティック回帰
このパターンを頭の中に入れておけば、推測統計を迷わず読み進めることができます。おそらく、ロジスティック回帰まで到達したころには、この4つの分類が当たり前のようにできているはずです。
以上、導入でした。

ここからが統計の本質に入っていきます! わくわくですね!
最終確認日:2025年11月22日

