第6章 6-2 / 確率

事象と確率の練習問題

このページで学ぶこと

前回の事象と確率で学んだ知識を、実際に手を動かして使ってみるページです。10問の練習問題を、難度を少しずつ上げながら配置しました。

一気に解こうとせず、一問ずつじっくり考えてから解答を見るのがおすすめです。間違えても大丈夫。解説を読んで、なぜそうなるのかを理解する過程で、確率の感覚が身についていきます。

さえちゃん
さえ

10問の練習問題、いっしょに解いていこう! わからない問題は飛ばしてもOK。必ず手を動かして書き出してから解答を見ると、定着率がグッと上がるよ!

基本編 ─ 用語の確認

まずは前ページで学んだ用語を、簡単な問題で確認していきましょう。

問題 1 ─ 全事象を書き出す

コインを2枚同時に投げる試行を考えます。表をH、裏をTで表すとき、この試行の全事象を書き出してください。

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全事象 U = {(H,H), (H,T), (T,H), (T,T)} の4通り

コイン1枚目と2枚目を区別すると、それぞれ表裏の2通りなので、合計 2 × 2 = 4通りの結果がありえます。「(H,T)と(T,H)は別の根本事象」として扱う点に注意してください。

問題 2 ─ 事象を集合で表す

サイコロを1回振る試行で、次の事象をそれぞれ集合で表してください。

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A = {1, 2, 3}(3以下なので1,2,3が含まれる)

B = {2, 4, 6}(1〜6のうち偶数は2,4,6)

C = {4}(根本事象1個だけからなる事象)

Cのように1つの根本事象だけを含む事象も、立派な「事象」です。

問題 3 ─ 和事象・積事象・余事象

問題2の事象A、Bについて、次の事象を集合で表してください。

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A = {1, 2, 3}、B = {2, 4, 6} を思い出します。

(1) A∪B = {1, 2, 3, 4, 6}

AまたはBのどちらかに含まれるものを集めます。重複(2は両方に含まれる)は1回だけ書きます。

(2) A∩B = {2}

AとBの両方に共通して含まれるのは「2」だけです。

(3) A^c = {4, 5, 6}

全事象 U = {1,2,3,4,5,6} のうち、Aに含まれない要素を集めます。「Aではない」のすべてが余事象です。

古典的確率の計算

ここからは確率の計算問題です。場合の数を数えて、古典的確率の式に当てはめていきます。

問題 4 ─ サイコロで素数

歪んでいないサイコロを1回振るとき、素数の目が出る確率を求めてください。

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まず、1〜6のうち素数を確認します。素数とは「1とその数自身でしか割り切れない、2以上の自然数」のこと。1〜6のうち素数は 2, 3, 5 の3つです(1は素数ではない、4は2で割れる、6は2や3で割れる)。

全事象は1〜6の6通り、素数が出る事象は3通りなので、

P(素数) = 3 ÷ 6 = 1/2

確率の問題は、まず「条件を満たす根本事象を正しく数える」ことから始めましょう。素数の定義を勘違いすると答えがズレます。

問題 5 ─ 2枚のコインで表が1枚以上

コインを2枚同時に投げるとき、表が少なくとも1枚出る確率を求めてください。

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全事象は問題1で書き出した {(H,H), (H,T), (T,H), (T,T)} の4通り。

「表が少なくとも1枚出る」事象は、(H,H), (H,T), (T,H) の3通りです。

P(表が1枚以上) = 3 ÷ 4 = 3/4

ヒント:「少なくとも1枚」の余事象は「1枚も表が出ない」、つまり (T,T) の1通りだけ。これを使って次のように計算する手もあります。

P(表が1枚以上) = 1 − P(表が0枚) = 1 − 1/4 = 3/4

どちらでも同じ答えになります。次の問題で、余事象を使った計算をもう少し掘り下げます。

余事象を使うとラクになる問題

「直接数えるより、余事象を使ったほうが圧倒的に簡単」な問題があります。「少なくとも〜」というキーワードが出てきたら、まず余事象を疑ってください。

問題 6 ─ サイコロを3回投げて1が一度も出ない

サイコロを3回投げるとき、1の目が少なくとも1回出る確率を求めてください。

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この問題を「1回出る」「2回出る」「3回出る」と場合分けして直接計算するのは大変です。余事象を使いましょう。

「1が少なくとも1回出る」の余事象は、「1が1回も出ない」、つまり3回とも1以外が出るです。

サイコロ1回で1以外が出る確率は 5/6。3回連続で1以外が出る確率は、独立な試行なので(次回詳しく扱います)、

P(3回とも1以外) = (5/6) × (5/6) × (5/6) = 125/216

したがって、求める確率は

P(1が少なくとも1回出る) = 1 − 125/216 = 91/216

余事象の発想を使うと、計算がずっと楽になりますね。3級では「少なくとも〜」ときたら反射的に余事象と考えるクセをつけましょう。

問題 7 ─ 3人の誕生日

3人の誕生日が、少なくとも2人は同じ月に生まれた確率を求めてください。1〜12月のどの月に生まれるかは同様に確からしいとし、年は考えません。

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この問題も余事象を使います。「少なくとも2人は同じ月」の余事象は「3人とも違う月」です。

全事象は、3人それぞれが12通りの月に生まれるので、12 × 12 × 12 = 1,728通り。

「3人とも違う月」になる場合の数は、1人目が12通り、2人目が11通り(1人目と違う月)、3人目が10通り(1・2人目と違う月)なので、12 × 11 × 10 = 1,320通り。

P(3人とも違う月) = 1,320 ÷ 1,728 = 55/72

したがって、求める確率は

P(少なくとも2人は同じ月) = 1 − 55/72 = 17/72 ≒ 0.236

意外と低い確率に感じるかもしれませんね。「誕生日のパラドックス」という有名な問題の縮小版です。

加法定理を使う問題

事象AとBが排反でないとき(重なるとき)、和事象の確率は加法定理 P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B) で計算します。

問題 8 ─ トランプから1枚引く

ジョーカーを除いた52枚のトランプから1枚引くとき、その1枚が「ハートまたは絵札」である確率を求めてください。絵札は J, Q, K の3種類、各スートに3枚ずつあります。

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事象A = ハート、事象B = 絵札 とします。

  • P(A) = ハートは13枚なので、13/52 = 1/4
  • P(B) = 絵札は4スート × 3枚 = 12枚なので、12/52 = 3/13
  • P(A∩B) = ハートかつ絵札 = ハートのJ, Q, Kの3枚なので、3/52

加法定理を使います。

P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B) = 13/52 + 12/52 − 3/52 = 22/52 = 11/26

ハートが13枚、絵札が12枚で合計25枚と思いがちですが、ハートのJ・Q・Kが両方に含まれているので3枚分を引いて22枚。これが加法定理の本質です。

問題 9 ─ クラスのアンケート

30人のクラスで、好きな科目をアンケートしました。「数学が好き」と答えた人が18人、「英語が好き」と答えた人が15人、「両方好き」と答えた人が10人いました。

このクラスから1人を無作為に選んだとき、「数学または英語が好き」な確率を求めてください。

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事象A = 数学が好き、事象B = 英語が好き とします。

  • P(A) = 18/30
  • P(B) = 15/30
  • P(A∩B) = 10/30(両方好きな人)

加法定理から、

P(A∪B) = 18/30 + 15/30 − 10/30 = 23/30

実際に、数学だけ好きな人は 18 − 10 = 8人、英語だけ好きな人は 15 − 10 = 5人、両方好きな人は10人。合計 8 + 5 + 10 = 23人。30人中23人なので 23/30。一致します。

どちらも好きじゃない人は 30 − 23 = 7人いることになります。

応用問題

問題 10 ─ サイコロを2回振る

サイコロを2回振るとき、出た目の和が10以上になる確率を求めてください。

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全事象は、1回目に1〜6の6通り、2回目に1〜6の6通りなので、6 × 6 = 36通り

和が10以上になる場合を書き出してみます。

  • 和が10:(4,6), (5,5), (6,4) → 3通り
  • 和が11:(5,6), (6,5) → 2通り
  • 和が12:(6,6) → 1通り

合計 3 + 2 + 1 = 6通り

したがって、

P(和が10以上) = 6/36 = 1/6

サイコロを2回振る問題では、「(1回目, 2回目)を区別して書き出す」のがコツです。たとえば(4,6)と(6,4)は別の根本事象として扱います。書き出すのが面倒に感じるかもしれませんが、この丁寧な作業が確実な正解への近道です。

解いてみての感想

10問おつかれさまでした! 全部解けた方も、半分くらいだった方も、それぞれの収穫があったはずです。確率の問題でつまずきやすいポイントを整理しておきましょう。

確率は、最初はパターンの引き出しを増やしていく分野です。本ページの10問は、3級の試験で出るパターンの骨格になるものを揃えました。同じ問題を時間をおいて何度も解き直すと、パターンが体に染み込んで、初見の問題でも解けるようになります。

さえちゃん
さえ

10問お疲れさま! 間違えた問題は宝物だよ──「なぜ間違えたのか」を理解できれば、次は絶対に間違えないからね! 次回は事象の独立性と試行の独立性に進むよ! 今日学んだ知識が、もっと深い世界につながっていくよ!