調和平均について
恥ずかしながら、私が学生時代に全く理解できなかったのが「調和平均」です。
中学の数学で先に学び、そのあと理科のオームの法則で合成抵抗が出てくるので、そこでも習った内容だと思います。
この記事で学習できること
- 調和平均
ここまでで、相加平均、相乗平均と学習しました。こちらの記事では「調和平均」を学習していきましょう。

逆数の平均の逆数だって言われても、さっぱりだったよ
調和平均
調和平均は、逆数の平均の逆数を取ることで計算されます。
例として「60」と「100」の値で、相加平均では「80」になりますが、調和平均では「75」と算出されます。これが本当に理解できませんでしたw
以下、それぞれの計算式を記載いたします。
(60+100)÷ 2 = 80
【逆数の平均】
(1/60 + 1/100)÷ 2
→(1/60 + 1/100)× 1/2
→(1/120 + 1/200)= (5/600 + 3/600) = 8/600
【その逆数】
600/8 = 75
どうして、逆数の平均の逆数なんて面倒くさいことをするのか? この計算式が当時まったくわかりませんでした。
しかし、大人になって機械学習を学び、ようやく理解に及びました。長かったね。
調和平均の理解の仕方
60と100の2つの数字を強弱で考えると、100のほうが強いですよね。では、これを逆数にするとどうなるでしょうか?
1/60 と 1/100 になります。こうすると、1/60 のほうが強くなりますよね?
逆数にすると、小さな値は大きな値になり、大きな値は小さな値になります。この強・弱を入れ替えて平均を求めるのが「調和平均」の本質です。
調和平均の使いどころとして、
- 速度(距離 ÷ 時間)
- 生産効率(作業量 ÷ 時間)
- 電気抵抗(電圧 ÷ 電流)
など、「分母が変化する指標」を扱うときに本領を発揮します。
往路・復路の自動車移動の例を出してみましょう。
10キロメートルの道路を、往路は時速60キロメートル、復路は時速100キロメートルで走った場合の平均時速は、調和平均により75キロメートル/時と計算されます。
分母が変化する、という意味を考えてみましょう。つまり、
- 速いほう(100km/h)は、短い時間しか走っていない
- 遅いほう(60km/h)は、長い時間を占めている
平均速度を求める際、行きと帰りで分母に変化がありますよね。こういうケースのとき、遅いほうに引っ張られるのが正しい平均となります。
どうでしょう?
2往復目にこの10キロメートルを平均80キロで走らなければいけない! というのと、平均から5キロ減の75キロで十分だよ! というのでは、後者のほうが安全に聞こえますよね。
合成抵抗も同じ理由になります。調和平均のほうが弱い抵抗に力を合わせてくれる。小さな数字を優しく扱う平均値。これが調和平均なのです。
このように考えると、調和平均の使いどころがわかりやすくなりませんか?
Excelでの調和平均を求める関数

Excelでは、HARMEAN(ハーミーン)関数を使います。使い方はAVERAGE関数と同様なので、上のキャプチャのように計算してみてくださいね。
まとめ
特定の条件では、強い数字を弱い数字に変換して平均を取る。これが調和平均でした。
補正の入った調和平均は、相加平均よりもマイナスの値で出力されます。統計学では調和平均を使うシーンはあまりないのですが、機械学習ではよく用いられますね。
以上、調和平均でした。

上流と下流で力関係を逆数を使って入れ替える、ってところが斬新な計算式だなと感じました!
最終確認日:2025年11月22日

