Home / macroscope / 第1回 日銀、利上げ「ほぼ確実」へ ― 金利が上がると、なぜ円高?
macroscope — 2026年6月9日 / 今日の経済

第1回 日銀、利上げ「ほぼ確実」へ ― 金利が上がると、なぜ円高?

ゼロから始めた経済の学習ノート、今日がその第1回です。この macroscope には、毎日ひとつずつ学んだことを書きためていきます。これから書くことも間違っているかもしれませんが、毎日少しずつ積み重ねていきます。分からない言葉は経済用語ノートに書きためているので、あわせて使ってください。最初に取り上げるのは、来週に迫った日銀(日本銀行)の会合です。

今日のニュース

先週の日本株は、大きく揺れました。日経平均株価は6月2日に史上最高値の6万8,402円をつけたものの、6月8日の終値は6万4,024円。前の週末と比べて2,563円安(3.85%)と、2026年で2番目に大きな下げ幅でした(引き金は、強い米雇用統計を受けた米金利の上昇でした)。6月9日はようやく反発して始まっています。

項目
6/2 最高値68,402円
6/8 終値64,024円
6/8の下落(前週末比)−2,563円(−3.85%)
6/9 寄り付き64,625円(前日比+600円)

日経平均:6/2の最高値から6/8終値までの下落
日経平均:6/2の最高値から6/8終値までの下落

そして今、市場の目線は来週へ移っています。日銀が6月15〜16日に開く金融政策決定会合で、追加利上げに踏み切るとの予想が9割近くに達してきました。報道では、政策金利を0.25%引き上げて1.0%にする方向で検討されている、と伝えられています。背景には、変動の大きい生鮮食品などを除いた物価(コアCPI)が4月に前年比+2.8%まで上がってきたことがあります。

なぜ「利上げ」なのか

先週の急落はアメリカ発(景気が強い → 米金利が上がる → 株安)でしたが、来週の主役は日本の金利です。動機も少し違って、物価が上がりすぎないようにブレーキを踏むためです。ひとつの連鎖で見るとこうなります。

  • 円安が続く(輸入するモノの値段が上がる)
  • 原油など資源の価格も高い
  • 生活に近い物価(コアCPI)が前年より+2.8%上がる
  • 日銀は「物価が上振れしている。金利を上げて冷ましたい」と考える
  • 来週の会合で、政策金利を0.25%引き上げる観測が強まる

ちなみに同じ日銀の中でも温度差があるようで、執行部(事務方の中心)は「原油高だけを理由に利上げを急ぐべきではない」と慎重、いっぽうで審議委員のなかには早く上げたい人もいる、と報じられています。会議の中で意見が割れているというのは、素人にはむしろ生々しくて面白いところでした。

では、利上げがなぜ「円高」につながるのか。ここが今日いちばん追いかけたかった点です。お金は、より高い利息がつくほうへ流れます。これまでは「アメリカの金利が高く、日本の金利が低い」ので、円を売ってドルを持つ動き(=円安)が強く出ていました。日本が利上げをすると、この日米の金利差が縮まり、円を持っていても損しにくくなる。だから円が買われやすくなる――これが「利上げ=円高方向」の理屈でした。今はドル円が159円前後と、160円や為替介入が意識される水準なので、なおさら注目されています。

今日の指標メモ

今日の時点で私が見ている主要な指標です(数値は概算・暫定の学習メモです)。

指標直近の値ひとこと
日経平均株価64,625円(6/9寄り)急落から反発。会合待ちで様子見
ドル円約159円160円目前。利上げなら円高方向の力
日銀 政策金利0.50%(会合待ち)6/15-16に1.0%へ利上げ観測(9割)
コアCPI+2.8%(4月)上振れ。利上げを後押し
米10年債利回り4%台高止まり。日米金利差の片側

一覧ページの上部にも「主要指標トラッキング」を置きました。ここに毎日1行ずつ書き足していくと、前回比と推移が自動で表示されます。点を毎日打っていけば、いつか線になって、流れが見えてくるはずです。

今日の俯瞰

今日たどった流れを、一本の道にまとめると、こうなります。

  • 円安・物価高(コアCPI+2.8%) → 日銀の利上げ観測 → 日米の金利差が縮む → 円高方向の力 + 株にはやや重し

先週は「米金利が上がって株が売られる」、今週は「日本の金利が上がって円が買われる」。同じ"金利"という川でも、見る場所によって景色が変わるのが面白いところです。次は6月15-16日の会合そのもの。利上げが実際に決まるのか、決まったとして円高はどこまで進むのかを追いかけます。

要点まとめ

今日いちばんの学びは、為替を動かすのは「金利の差」だということでした。片方の国だけでなく、二国の金利を引き算して眺める。差が大きいほど高いほうにお金が流れ、差が縮むと流れがゆるむ。

Excel講師の寄り道をひとつ。これは、利率の違う2本の定期預金を =ドルの利率 - 円の利率 と引き算しているのに似ています。差がプラスで大きいほどドル預金の魅力が勝ち(円安)、日本が利上げしてこの差が縮むと、円預金にも目が向く(円高)。

じつは金利には、もうひとつの顔もあります。「将来のお金を、今の価値に直すときの割引率」です。ExcelのPV関数で利率を上げると将来価値が小さく出るのと同じで、金利が上がると遠い将来に賭けた株(AI・ハイテクなど)ほど不利になる――先週の急落は、この縦の顔が効いた場面でした。同じ金利でも、「二国を比べる横の引き算」と「将来を今に直す縦の割引」。向きが違うだけで、株にも為替にもつながっていく。数字の仕事をしてきたのに、このつながりを知らなかったのは、お恥ずかしい限りです。

経済ニュースはバラバラに見えても、やっぱり金利という一本の川でつながっている。来週の会合で、その川がどう流れるのか。明日もまた、ひとつ賢くなれますように。

他の日のノートも読む