生産性とは何か

Productivity

生産性=生み出した価値÷投入した時間 ― 時間当たり労働生産性60.1ドル

「生産性が高い」「生産性が低い」ということばを、ニュースや職場でよく耳にします。生産性(投入した労力に対して、どれだけの価値を生み出せたかを表す指標)とは何か、まずは定義から確認しましょう。

最もよく使われる時間当たり労働生産性は、次の式で求められます。生産性=生み出した付加価値 ÷ 投入した労働時間。1時間働いて、どれだけの付加価値(GDPとは何かで見た、仕入れを上回って新しく生み出された価値)を生み出せたか、という比率です。

この指標で見ると、日本の時間当たり労働生産性は60.1ドル(日本円換算でおよそ5,720円)で、OECD加盟38カ国中28位です(日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」、2024年データ)。「1時間働いて生み出す付加価値」という点で、他の先進国と比べると低い順位にとどまっている、というのが現在地です。

「日本人は怠けている」わけではない ― 決まる要因は他にもある

生産性の順位が低いと聞くと、「日本人はあまり働いていないのだろうか」「怠けているのだろうか」と感じてしまうかもしれません。しかし、生産性を決める要因は、働く人の頑張り具合だけではありません。

生産性の式は「生み出した付加価値 ÷ 投入した労働時間」でした。分子である付加価値は、どれだけ働いたかだけでなく、その仕事にどれだけの値段を付けられたかにも左右されます。同じ量・同じ質のサービスを提供していても、値段を安く設定すれば、統計の上での付加価値は小さくなり、生産性は低く計算されてしまいます。

このほかにも、どんな産業に人が多く従事しているかという産業構造や、機械化・IT化にどれだけお金をかけているかという設備投資の水準も、生産性を左右する大きな要因です。長時間働くことと、生産性が高いことは、必ずしも同じ話ではありません。

生産性と賃金 ― 原資が増えないと、賃金も増えない

生産性の話が、なぜ賃金の話とセットで語られるのでしょうか。答えは、賃金の元手が、企業の生み出す付加価値の中から支払われるからです。

賃金と物価の関係で見たとおり、企業が従業員に払う賃金は、企業が生み出した付加価値の一部です。付加価値そのものが増えなければ、賃金として配れる原資も増えません。逆に言えば、生産性が上がって1人が生み出す付加価値が増えれば、賃金を上げる余地も広がる、という関係にあります。

もちろん、生産性が上がったからといって、その分が自動的に賃金へ回るとは限りません。増えた付加価値をどう配分するかは、また別の話です。それでも、賃金が持続的に上がっていくためには、その土台となる生産性の向上が欠かせない、という関係だけは押さえておきたいところです。

もっと深く ― 一人当たりと時間当たり、2つの生産性の違いDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。

もう1つの指標・一人当たり労働生産性

生産性には、時間当たりのほかに一人当たり労働生産性という指標もあります。これは「1時間当たり」ではなく、「就業者1人が1年間に生み出す付加価値」を表すもので、日本は98,344ドル(日本円換算でおよそ935万円)、OECD加盟38カ国中29位です(日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」、2024年データ)。

指標順位
時間当たり労働生産性60.1ドル(5,720円)38カ国中28位
一人当たり労働生産性98,344ドル(935万円)38カ国中29位

差を生むのは、労働時間の長さ

2つの指標が近い順位になる国もあれば、離れる国もあります。その差を生む大きな要因が労働時間の長さです。同じ量の付加価値を、短い時間で生み出せば時間当たり生産性は高くなり、長い時間をかけて生み出せば時間当たり生産性は低く出ます。一人当たりの数字だけでなく、時間当たりの数字もあわせて見ることで、「長く働いて稼いでいるのか」「短い時間で効率よく稼いでいるのか」という違いが見えてきます。

考えてみるTHINK
Q1

自分の仕事の「生産性」を上げる方法を、労働時間を増やす以外で3つ挙げてみましょう。

ヒント: 値段の付け方・仕事の進め方・使っている道具や設備、のどれかに着目してみましょう。

Q2

「値上げ」と「生産性向上」には、意外な関係があります。どんな関係でしょうか?

ヒント: 生産性の式の分子には「生み出した付加価値」が入ります。同じ仕事でも値段が上がると、その分子はどうなるでしょうか。

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