日本人の金融資産2,000兆円超とは何か

Household Financial Assets

家計の金融資産は2,385.7兆円

「日本の家計金融資産、過去最高を更新」というニュースを見たことはありませんか。あの数字の元になっているのが、日本銀行が四半期ごとに公表している資金循環統計(お金が家計・企業・政府・銀行のあいだをどう動いたかをまとめた統計)です。

2026年3月末の速報によると、日本の家計が持つ金融資産の残高は2,385.7兆円でした。前年から158.9兆円増え、残高はこれまでで最も大きくなっています。

ここでいう「金融資産」とは、現金・預金・株式・投資信託・保険や年金の積立金など、家(不動産)や車のような形のあるモノを除いた、お金に関する資産の合計です。この数字の大きさを実感するために、まずは「誰か一部の人だけの話ではなく、日本中の家計を全部合わせた合計額」だということを押さえておいてください。

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2,385.7兆円は、ひとつの塊ではありません。中身を見ると、日本の家計のお金の持ち方が少しずつ変わってきているのが分かります。

長らく「日本人はお金を銀行に預けたがる」と言われてきました。実際、家計の金融資産に占める現預金比率(現金と預金が資産全体に占める割合)は、長い間50%を超えていました。ところが2025年6月末に、この比率は初めて50%を下回りました。2026年3月末の時点では、およそ47%まで下がっています。

代わりに増えているのが、株式や投資信託です。前年からの増加額+158.9兆円のうち、株式等が+88.6兆円、投資信託が+33.9兆円を占めています。現金・預金の増加は+6.7兆円にとどまり、増加分の大半は株式や投資信託によるものでした。新NISA(少額の投資について税金を優遇する制度)の広がりもあり、「貯蓄から投資へ」という流れが、統計の数字にもはっきり表れています。

項目数値
家計金融資産残高2,385.7兆円
前年差(合計)+158.9兆円
 うち株式等+88.6兆円
 うち投資信託+33.9兆円
 うち現金・預金+6.7兆円
現預金比率約47%(2025年6月末に50%を下回った)

出典: 日本銀行「資金循環統計」速報、2026年3月末

「平均」にだまされない

ここで、ひとつ気をつけたいことがあります。2,385.7兆円を日本の世帯数で単純に割ってみると、1世帯あたりの平均額はかなり大きな数字になります。ですが、この平均額を見て「自分の家計とはずいぶん違う」と感じた方も多いのではないでしょうか。

これは、資産という数字が持つクセによるものです。世の中の資産は、全員に均等に分布しているわけではありません。多くの資産を持つ一部の世帯が平均値(すべての値を合計し、件数で割った値)を大きく押し上げる一方で、多くの世帯はその平均額よりも少ない資産で暮らしています。

こうした偏りのあるデータを見るときは、平均値だけでなく中央値(データを小さい順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る値)にも目を向けることが大切です。平均値と中央値がどれくらいずれるものか、実際のデータで確認したい方は、統計検定3級の講座でも扱っています。「日本人の金融資産は過去最高」というニュースの見出しと、自分の実感とのあいだにある距離は、多くの場合この仕組みで説明がつきます。

もっと深く ― 資金循環統計とは何かDEEP DIVE

ここからは、基礎の一歩先の話です。読み飛ばしても本筋は追えます。

日銀が四半期ごとに公表する「お金の家計簿」

資金循環統計は、日本銀行が3か月に1回、家計・企業・政府・金融機関のあいだでお金がどう動き、それぞれがどれだけの資産・負債を持っているかをまとめて公表している統計です。いわば、日本経済全体の「お金の家計簿」にあたります。

このページで使った数字も、すべて日本銀行のWebサイトで誰でも無料で見られる一次資料から取っています。ニュースで「家計金融資産が過去最高」と報じられたとき、その元になった数字を自分の目で確認できる、ということです。専門的な資料に見えますが、家計部門の残高や内訳がまとまった要約表もあり、慣れると読み進められます。

考えてみるTHINK
Q1

「日本人の金融資産は過去最高」というニュースを見て、自分の実感と合いますか? 合わないとしたら、その差はなぜ生まれるのでしょうか?

ヒント: このページで扱った、平均値と中央値の話を思い出してみましょう。

Q2

現預金比率が下がり続けると、日本の家計や経済には何が変わるでしょうか?

ヒント: 現金・預金と、株式・投資信託とでは、値動きのしかたが違います。

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