第1章 1-8 / データの記述と要約

質的データの要約

1. 度数・相対度数・度数分布表

質的データの要約は、つきつめれば数えて、見える形にするだけです。むずかしい式はほとんど出てきません。まず第一歩は、「それぞれのカテゴリに何件あるか」を数えることです。

この件数を度数(frequency)と呼びます。さらに、度数を全体の総数で割った割合を相対度数と呼びます。検定では比率とも言います。

これらをカテゴリ別にまとめた表が度数分布表です。例として、社員50人に「仕事でいちばんよく使う端末は?」と尋ねた結果をまとめてみます。

端末度数(人)相対度数百分率
スマホ240.4848%
PC120.2424%
タブレット90.1818%
その他50.1010%
合計501.00100%

たとえばスマホは $\dfrac{24}{50}=0.48$ で $48\%$。度数だけだと「24人」が多いのか少ないのか判断しづらいですが、相対度数で「全体の約半数」と言えば規模感がつかめますね。集団の大きさが違う2つのデータを比べたいときは、相対度数で比べるのが鉄則です。

FORMULA — 試験に出る式 $$\text{相対度数} = \frac{f_i}{n}$$

あるカテゴリの度数を $f_i$、全体の総数を $n$ とします。相対度数をすべて足すと必ず $1$($100\%$)になります:$\displaystyle\sum_{i} \frac{f_i}{n} = 1$。

2. 棒グラフ ─ カテゴリ別の数を比べる

度数分布表を棒グラフにすると、どのカテゴリが多くてどれが少ないかが一目でわかります。質的データの可視化で、もっとも基本かつ強力なグラフです。

0 5 10 15 20 25 度数(人) 24 12 9 5 スマホ PC タブレット その他

よく使う端末の棒グラフ(カテゴリ別の度数)

棒グラフを描くときの基本ルールは次のとおりです。

  1. 横軸にカテゴリ、縦軸に度数(または相対度数)をとる
  2. カテゴリ間の棒は離して描く(連続した値ではないことを示すため)
  3. 並び順は度数の多い順、または順序尺度なら意味のある順にする
  4. 「その他」は、内容にかかわらずいちばん右に置く

量的データのヒストグラムと見た目は似ていますが、ヒストグラムは連続した階級なので棒をくっつけて描き、棒グラフはカテゴリ間に連続性がないことを示すために棒を離す、という違いがあります。くっつけて描くと連続データと混同されてしまうので気をつけましょう。

棒グラフの目的は「カテゴリ別の数(量)の比較」に尽きます。「どれが多くて、どれが少ないか」を直感的に伝えるのに、これ以上シンプルで強いグラフはありません。数を比べたいときの第一選択と覚えておきましょう。

3. 円グラフ・帯グラフ ─ 全体に対する割合を見せる

棒グラフが「数の比較」なら、円グラフ帯グラフは「割合(構成比)の可視化」が得意です。同じデータでも、見せ方を変えるとメッセージが変わります。

円グラフ

円グラフは、円全体を $100\%$ とし、各カテゴリの相対度数に応じて扇形に分割します。中心角は相対度数 $\times 360^\circ$ で決まります。たとえばスマホは $0.48\times 360^\circ \approx 173^\circ$ ぶんの扇になります。

スマホ 48% PC 24% タブレット 18% その他 10%

よく使う端末の円グラフ(相対度数を扇形で表現)

円グラフを使うときの注意点です。

帯グラフ

帯グラフは、長方形の帯を $100\%$ として、カテゴリごとに区切ったものです。「$100\%$ 積み上げ棒グラフ」とも呼ばれます。力を発揮するのは、複数グループの構成比を並べて比較する場面です。

営業部 開発部 0% 50% 100% スマホ PC タブレット その他

部署別の端末構成比を並べた帯グラフ(構成比の違いが一目でわかる)

2本の帯を並べると、営業部はスマホ中心、開発部はPC中心、という構成比の違いがひと目で伝わります。同じことを円グラフ2枚でやると比較しづらいので、複数集団の構成比を比べるなら帯グラフが向いています。

円グラフ・帯グラフはどちらも「全体に対する割合」を見せるグラフで、1集団の構成比なら円グラフ、複数集団の構成比の比較なら帯グラフ。絶対数の比較は棒グラフです。「数か、割合か、その比較か」から逆算してグラフを選びましょう。

4. グラフ選びの用途と注意点

3つのグラフの使い分けを、表に整理しておきます。

グラフ見せるもの向いている場面
棒グラフカテゴリ別の(量)「どれが多い/少ない」の比較
円グラフ1集団の構成比全体に占める割合を見せる
帯グラフ複数集団の構成比グループ間で構成比を比べる

共通して気をつけたいこと

CHECK TEST — 確認テスト

この章の理解度チェック

答えを開く前に、必ずノートに手で書いてください。書いてから答え合わせをすることで、試験本番でも同じ判断がすぐにできるようになります。

Q1度数と相対度数は何が違うでしょうか?
度数はカテゴリ別の件数そのもの、相対度数は度数を全体の総数 $n$ で割った割合($f_i/n$)です。相対度数をすべて足すと必ず $1$($100\%$)になります。
Q2集団の大きさが違う2つのグループの内訳を比べたいとき、度数と相対度数のどちらを使うべきでしょうか?
相対度数です。度数(生の数)のまま比べると、母数の大きい集団が有利に見えてしまうため、割合にそろえて比べる必要があります。
Q3棒グラフでカテゴリ間の棒を離して描くのはなぜでしょうか?
カテゴリ間に連続性がないことを示すためです。棒をくっつけて描くと、連続した階級を表すヒストグラムと混同されてしまいます。
Q4本文の例で「PC」の相対度数は $0.24$ でした。円グラフに描くときの中心角はおよそ何度になるでしょうか?
約 $86^\circ$ です。中心角=相対度数 $\times 360^\circ$ なので、$0.24 \times 360^\circ = 86.4^\circ$ となります。
Q5営業部と開発部で「よく使う端末」の構成比を比べたいとき、棒グラフ・円グラフ・帯グラフのどれが向いているでしょうか?
帯グラフです。複数グループの構成比を並べて比較する場面に強く、1本の帯にまとめて描く円グラフ2枚では比較しづらい情報も見やすくなります。

次回 1-9 散布図・相関係数・共分散 からは、いよいよ2つの変数の関係に踏み込みます。1つのデータを読む力が、関係を見る力へと進化していきますよ。

さえちゃん
さえ

グラフは「何を伝えたいか」から選ぶのがコツ。数なら棒、割合なら円、構成比の比較なら帯。3Dや軸のごまかしは、見る人をだましちゃうから卒業しよう! 第1章前半、おつかれさま!

HANDWRITING — 紙に書いてインプットしよう!

このページに出てきた重要キーワードです。ページを閉じる前に、声に出しながら紙に手で書いてみてください。手を動かすと、読むだけの何倍も速く記憶に定着します。

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