「同じ部屋にいる人全員に声が届く範囲」と「同じ建物の館内放送が届く範囲」は、いつも同じ広さでしょうか?
ネットワークにも、この2種類の「届く範囲」があります。片方は機器を変えると急に狭くなるのに、もう片方はなかなか狭くなりません。読み進めながら、その違いを探してみてください。
「ぶつかる範囲」と「みんなに届く範囲」は別モノ
ネットワークには、性質の異なる2つの「範囲(ドメイン)」があります。コリジョンドメインとブロードキャストドメインです。名前は似ていますが、機器によって広さの変わり方がまったく違います。この違いを整理するのが今回のテーマです。
コリジョンドメインとは
コリジョンドメインとは、複数の機器が同時に信号を送ると衝突(コリジョン)が起きてしまう範囲のことです。これは、大昔の同軸ケーブルやハブを使ったネットワークで問題になっていました。
ハブは受け取った信号を「全ポートにそのまま流す」だけの単純な機器です。1本の道路をみんなで共有しているようなもので、2台以上の機器が同時に話し始めると、信号同士がぶつかって通信が壊れてしまいます。つまり、ハブにつながる機器は全部まとめて1つのコリジョンドメインになります。
一方、スイッチは違います。スイッチは各ポートが独立した専用の通り道(セグメント)を持っており、ポートごとに衝突の心配がありません。そのため、スイッチではポート1つ1つが、それぞれ別のコリジョンドメインになります。これがハブからスイッチへの世代交代で解決された、大きな問題の1つでした。
ブロードキャストドメインとは
もう一方のブロードキャストドメインは、ブロードキャストフレーム(宛先MACが FFFF.FFFF.FFFF の、全員宛てのフレーム)が届く範囲のことです。館内放送のように、その範囲にいる全員に届きます。
ここで注意が必要です。スイッチはコリジョンドメインをポートごとに分割しましたが、ブロードキャストは基本的に素通りさせます。スイッチはブロードキャストフレームを受け取ると、受信ポート以外の全ポートに送り出します(フラッディングと同じ動き)。つまり、同じスイッチ(や複数のスイッチが連なったネットワーク)は、丸ごと1つのブロードキャストドメインになります。
このブロードキャストドメインを分割できるのが、ルーター、そして後ほど学ぶVLANです。ルーターは異なるネットワーク同士を接続する機器で、ブロードキャストをそのまま次のネットワークへは流しません。VLANは1台のスイッチを論理的に複数のグループに分け、それぞれを別のブロードキャストドメインとして扱う技術です。
表で整理すると
| 機器 | コリジョンドメイン | ブロードキャストドメイン |
|---|---|---|
| ハブ | 全ポートで1つ | 全ポートで1つ |
| スイッチ | ポートごとに分割 | 全ポートで1つ(VLANなしの場合) |
| ルーター/VLAN | (スイッチと同様) | インターフェース/VLANごとに分割 |
24ポートのスイッチ(VLANは未設定)に、24台のPCがそれぞれ1台ずつ接続されています。このときコリジョンドメインとブロードキャストドメインはそれぞれいくつでしょう?
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答えは、コリジョンドメインは24個(ポートごとに独立)、ブロードキャストドメインは1個(VLANを設定していないスイッチ全体で1つ)です。スイッチはコリジョンドメインを分割しますが、ブロードキャストドメインはルーターやVLANがなければ分割されません。
試験でのポイント
CCNA試験では、「ハブ・スイッチ・ルーターのそれぞれが、コリジョンドメインとブロードキャストドメインをいくつに分割するか」という組み合わせがよく問われます。特に、スイッチはコリジョンドメインは分割するがブロードキャストドメインは分割しないという非対称な性質が引っかけのポイントです。「スイッチを増やせばブロードキャストの問題も解決する」と誤解しないよう注意しましょう。ブロードキャストドメインを分割できるのはルーターとVLANだけ、という点をセットで覚えておくと安心です。
ブロードキャストドメインを分割できる機器・技術はどれでしょう?
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答えはルーターとVLANです。ハブやVLAN未設定のスイッチは、ブロードキャストフレームをそのまま全ポートに流してしまうため、ブロードキャストドメインを分割できません。
コリジョンドメインはスイッチのポートごとに分かれるけど、ブロードキャストドメインはVLANかルーターがないと分かれない——ここ、テストでよく狙われるから要注意だよ。次はいよいよ、IOSの画面でMACアドレステーブルを実際に見ていくよ。