1. ネットワークとは「つながり」のこと
コンピューターネットワークとは、2台以上のコンピューターやデバイスが、互いに情報をやりとりできるようにつなげたしくみのことです。家のWi-Fiにスマートフォンとパソコンがつながっているのも、会社の中でPCがファイルサーバーやプリンターと通信しているのも、すべてネットワークです。
ネットワークの目的をひとことで言うと、「情報を共有すること」です。1台で完結する情報処理ではなく、複数の機器が連携することで、わたしたちは次のようなことを実現しています。
- 遠く離れた人とのメール・チャット・ビデオ会議
- クラウド上のファイルへのアクセス(OneDrive、Google Drive など)
- 会社の共有プリンターでの印刷
- Webサイトの閲覧、動画のストリーミング
- 銀行のATMからの口座情報の照会
私たちが普段「インターネット」と呼んでいるものも、世界中のネットワークを巨大に相互接続したものです。インターネットの "inter-" は「〜の間」「相互の」を意味します。つまりインターネットは、ネットワーク同士をつなぐネットワークなのです。
ネットワーク学習の最初のキーワードは「つながり」です。CCNAで学ぶさまざまな技術は、突き詰めると「2台のデバイスを正しくつなぐためには、何が必要か」という問いへの答えです。この視点を持っておくと、迷子になりにくくなります。
「ネットワーク」って、本当はすごくシンプルな考え方なんだね。コンピューター同士をつなげて、お話できるようにしたもの。難しく見える専門用語も、結局はこれを実現するための工夫なんだ。
2. ネットワークを構成する4つの登場人物
ネットワークの仕組みを理解するために、まず誰がそこにいるのかを整理しましょう。CCNAでは、ネットワークの構成要素を大きく次の4つに分類します。
エンドデバイス(ホスト)
人間が直接使う機器。PC、スマートフォン、サーバー、プリンター、IP電話など、ネットワークの「端っこ」にいる機器のことです。情報の送り手であり受け手でもあります。
中継機器(インターミディエイトデバイス)
データを目的地まで運ぶ機器。スイッチ、ルーター、ファイアウォール、無線LANアクセスポイント(AP)などがこれに当たります。CCNA学習の大半は、この中継機器の扱い方を学ぶ時間です。
ネットワーク媒体(メディア)
データが実際に流れる「道」。LANケーブル(銅線)、光ファイバー、無線(電波)の3種類があります。媒体によって速度・距離・コストが大きく変わります。
サービス・アプリケーション
ネットワーク上で動くソフトウェア。Webブラウザ、メールクライアント、ファイル共有、業務アプリなど。エンドユーザーが「使う」のはこの層ですが、その下では1〜3が支えています。
スイッチとルーターのちがい
中継機器の中でも、CCNA学習の主役はなんといってもスイッチとルーターです。それぞれの役割をひとことで押さえておきましょう。
スイッチは、同じネットワーク内のデバイス同士をつなぐ機器です。たとえば1つのオフィスフロアに置かれたPCたちを束ねるのがスイッチの仕事です。「内側のまとめ役」と覚えてください。
ルーターは、異なるネットワーク同士をつなぐ機器です。あるオフィスから別のオフィスへ、あるいは社内からインターネットへ、ネットワークの「境界」を越える通信はすべてルーターが扱います。「外との橋渡し役」と覚えてください。
スイッチ=同じネットワーク内、ルーター=異なるネットワーク間。この2つの役割の違いは、CCNAの全範囲に通底する基本軸です。今のうちに頭に染み込ませておくと、後々の学習がぐっと楽になります。
3. ネットワークの大きさで分類する ― LANとWAN
ネットワークは、そのカバーする範囲(地理的な広さ)によって、いくつかの種類に分けられます。CCNAでもっとも頻繁に登場するのが、LANとWANです。
LAN(ラン)— Local Area Network
LANは、同じ建物・同じフロア・同じ家庭内など、限られた範囲のネットワークです。一般的には、自分たちで管理できる範囲がLANと考えるとイメージしやすいでしょう。
- 家庭のWi-Fiネットワーク(ルーター + PC + スマホ + テレビ)
- 会社の1フロアにあるPCとプリンターのネットワーク
- カフェの店内Wi-Fi
WAN(ワン)— Wide Area Network
WANは、都市・国・大陸をまたぐような、広い範囲のネットワークです。LANとLANをつなげる役割を持ちます。WANの回線そのものは、自社で敷設するのではなく、通信事業者(NTT、KDDIなど)から借りるのが一般的です。
- 東京本社と大阪支社をつなぐ専用線
- 各支店をつなぐVPN(仮想専用線)
- 世界中をつなぐインターネットそのもの
そのほかのネットワーク区分
試験では補足的に、より細かい区分も問われることがあります。
- PAN(Personal Area Network)— Bluetoothなど、個人の周辺機器をつなぐ近距離ネットワーク
- MAN(Metropolitan Area Network)— 都市規模のネットワーク。LANとWANの中間
- SAN(Storage Area Network)— ストレージ専用の高速ネットワーク
- WLAN(Wireless LAN)— 無線で構成されたLAN。家庭や会社のWi-Fiもこれ
ネットワークの種類は、「自分たちで管理するか/通信事業者から借りるか」という線引きで考えるとスッキリ整理できます。LANは前者、WANは後者です。CCNAでスイッチを扱う領域はLAN、ルーターを扱う領域はLANとWANをまたぐ場面、と捉えるとよいでしょう。
LANは「内側の家」、WANは「家と家をつなぐ道路」って考えると分かりやすいかも! 道路は自分で作るんじゃなくて、国や会社が用意してくれているのを借りる、ってイメージだね。
4. ネットワークがもたらす4つの価値
CCNAは技術の試験ですが、最初に「なぜネットワークが必要なのか」というビジネス的な視点もきちんと押さえておきます。試験でも問われやすいテーマです。ネットワークがもたらす主な価値は、次の4つです。
情報の共有
ファイル、データベース、業務アプリの共有。一人ひとりがコピーを持たなくても、必要な情報に必要なときアクセスできます。
リソースの共有
プリンター、ストレージ、計算リソースなど、高価な機器を複数人で共用できます。コスト効率が大幅に上がります。
コミュニケーション
メール・チャット・Web会議・IP電話など、距離を越えた即時のやりとりを実現します。リモートワークの土台でもあります。
業務プロセスの自動化
受発注、在庫管理、勤怠など、システム同士がネットワークでつながることで、人手を介さない自動処理が可能になります。
現場のネットワーク技術者は、機器を扱う技術力だけでなく、「このネットワークで何を実現したいのか」というビジネス視点を持つことが求められます。CCNAはエントリー資格ですが、その入り口にすでに「技術 × ビジネス」の両輪が用意されているのです。
5. まとめ
CCNAの最初の一歩、ネットワークの全体像を駆け足で確認しました。ここまで読み終えたあなたは、もうネットワークの「地図」をうっすらと手に入れています。
- ネットワークとは、複数のデバイスを情報のやりとりができるようにつなぐしくみ
- 構成要素は4つ — エンドデバイス、中継機器、媒体、サービス
- スイッチは内側のまとめ役、ルーターは外との橋渡し役
- LANは限られた範囲、WANは広い範囲のネットワーク
- ネットワークの価値は、情報共有・リソース共有・コミュニケーション・業務自動化の4つ
次のレッスンでは、この「ネットワークの中で、データはどうやって相手に届くのか」というしくみの土台、ホスト間通信モデルを学んでいきます。OSI参照モデルやTCP/IPモデルといった、CCNA最大の山のひとつに踏み込んでいく準備の章です。
はじめのページ、お疲れさまでした! この先たくさん専門用語が出てくるけど、最初にお話したとおり「コンピューター同士をつなげる工夫」の話だってことを忘れないでね。次のページもいっしょに進もう!