人にお願いすることに関するコラムです。

講義の開始前や休憩時間中、積極的に質問をされる受講生がいます。教え方が悪くてわからなかったからもう一度! というわけではなく、おおかた授業内容と異なる質問がほとんどです。

先生、ちょっといいですか? 別件でお伺いしたいのですがね…… / この授業と関係なくて、WindowsのXPを使っているのですが…… / わからないことがありまして、いつも右下に表示される J A V Aってなんですか? ウイルスですか?

などなど……。

質問者が同じだと、今日もまた質問を持ってきたな、と身構えることもあります。経験則上厄介なものが多く、回答に時間がかかることもあるゆえに、けれども無碍にできないところが難しいところでもあるわけです。思い当たる節というのは、まさにこのことでした。

「先生お願いです。教えてください。」


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話は変わりますが、パリからの帰りの飛行機でのこと。

管理人は足が伸ばせるけれども、緊急時には乗客を制しなくてはならないエマージェンシーシートに座っていました。どんな感じか一度座ってみたかったんですね。振動がすごく、トイレ待ちや立ち話をする人が多いので、イラッとくる席だったために次回からは遠慮しようかなと思うところですが ^^;

もとい。

お隣に座られた男性は、ヨーロッパ周遊ツアーとのこと。最終地点はパリで、そこから成田を経由し、仙台まで帰るとのことでした。奥さんと席が離れ離れになってしまったので、何とか座席を隣並びになるよう、いろいろ席を変えてもらうように搭乗時から積極的なお願いをしていました。

ツアー会社で並びの座席が取得できなかったのでしょう。その飛行機、ほぼ満席でしたから。

管理人にもお願いされましたが、24時間前に忘れずWebチェックインを済ませてこの席を選んだのですから、そう簡単に窮屈な場所への移動は嫌でした。フライト時間は11時間ですからね……。結局は、紳士的なフランス人の方が交代してくれたのですが……。

なんてずうずうしいやつだ! と、ちょっとイラっとしていました。

けれども飛行機が飛んでしばらくすると、キャラメルをくれたのです。不思議なもので、その食べたくもないキャラメルひとつが、さっきまでの苛立ちを消してくれたんですよね。それまであった嫌悪感がふっと消えたというか。これがツンデレの心理作用でしょうか ^^; いや、その方の人柄・テクニックかと思います。

それを気に、隣の夫婦に意識を傾けました。

その旦那さんが、どうしてあれだけしつこく、迷惑なくらいにまで動いて席を横並びにしたかったのか? 海外旅行にいくと、何もできなくなる方って、少なからず出会ったことがあります。右も左もわからなくなる感じ。

そう、奥さんがその手のタイプだったんですね。

11時間、奥さんが座っていた最初の座席は、結構マッスルな刺青入りの男性と、細身だけど身長の高い金髪の男性でした。その間に挟まれてしまえば、テレビモニタの操作はおろか、機内食ですら十分に食べられなかったと思います。奥さんのための行動と知ると、最初のイラっとしたのが「ならそうするよね」という、まったく正反対の気持ちになったわけです。

つまりは、講師業での経験則。受講生のしつこさも、ときにはこの作用となります。

本当にお門違いの質問をされる方は、ただ話したいだけなのかな? と思ってしまい、そう見抜いてしまうと対応もドライなりがちなのですが、例えばパソコンの不具合をなんとか直したくて、その直したい理由がどうしても切羽詰まっている状態で、というように動機が明確になると、その瞬間からこちらも授業外のことであっても助けたくなるわけです……。

年間数百人と講義をしますが、そんな思い出があると、受講生の顔が記憶に残っているんですよね。2度目に会うと、ものすごい感謝される。そうなると、こっちもあのときのトラブルが解決できてよかったなと嬉しくなる。

で、旅でもこんなことがあると ―― 例えばアメリカから帰ってきたときの飛行機は平穏無事だったので、ほとんど記憶に残っていません。どちらも共通しているのは、最初イラッとして、あとで思い出として残るという不思議な作用。動機がきちんとしてれば、強引なお願いもあらかたイケるというヒントなのでしょうか? ググればわかるでしょ、と言われる質問をしてしまうので、お願いの内容や質が下手くそなんでしょうね。

動機がきちんとした強引なお願い。これらをヒントに、ちょっと使えるときに使ってみようと思います。