こんにちは! Excel講師の榊裕次郎です。
講師業も10年以上のキャリアになってきたので、初心を忘れないためにも、「講師業の心得」というタイトルでこのページにまとめていきます。
講師業 - 11の心得
私が講師業を行う上で実践している11の心得について記載します。
先にひとつだけ、講座は徹底的に準備し終えている、という当然のことは割愛します。
それでは第1の心得からご覧くださいませ。
第1の心得
教室・会場への持ち物とスーツ類は、前日のうちに準備する
講座当日の朝の時間を無駄にしないためです。さっとカバンを持って服に悩まず出かけたい。小学生の頃からそこらへんは優等生で、必ず明日の準備をしてからお布団に入らないと気が済まない子でした。何よりも、忘れ物をしてみんなと同じことができない時間を過ごすのが、本当に嫌だったのでしょう。
また、朝のペースが乱れれば、講座進行の乱れにもつながりますからね。
第2の心得
絶対に遅刻をしない
講師業は遅刻するとアウトです。いかなる理由があっても、教室入り・会場入りしないといけない。そういう職種なのです。人身事故が起きて電車が遅れています、という遅刻が許されるのは受講生で、講師は何が何でも開始時間にいないといけません……とはいえ、踏切事故で電車内に2時間閉じ込められたときは、どうしようもなかった経験もあります。
おおかた、1時間前には最寄り駅について、コーヒーショップで時間を潰しております。どんな不測事態が起きても、1時間あればなんとかなります。
第3の心得
心落ち着くトイレのポイントはあらかじめ確認しておく
この心得は、過敏性腸症候群の私限定でしょう。ホームグラウンドでない会場の講座は、どうしても行きの電車内でお腹が騒ぎ出します……。
写真はAC素材から拝借しました。美しいトイレ。きれいなトイレがある現場は落ち着きます。
第4の心得
お昼は決まって同じものを食べる
クライアント先でお昼が用意されていれば別ですが、基本はコンビニまたは食堂で初日に選んだものをずっと食べ続けます。これは、講座のペース配分を崩さないための願掛けです。自動販売機で買う飲み物も固定という徹底ぶりで、もちろん初日に選んだ同じ飲み物を買います。
3日以上の講座だと3日目からさすがに飽きてしまいますが、私の変なこだわりです。
第5の心得
講座前日は禁酒する
お酒好きというより単なる酔っ払いですが、さすがに講座前日は禁酒します。過敏性腸症候群に加えて、お酒による下痢症状なんてダブルパンチは絶対に嫌ですからね。
楽しみは講座後にとっておきましょう。講座後の1杯目のビールが至福なのです。
第6の心得
50分講座・10分休憩のサイクルは必ず守る
自分が受講生側だったら、義務教育時代の時間間隔じゃないと嫌です。大学の講座は1講座90分。集中できませんでした。そして、眠かった。
- 9:00 ~ 9:50
- 10:00 ~ 10:50
- 11:00 ~ 12:00
- 12:00 ~ 13:00(お昼休み)
- 13:00 ~ 13:50
- 14:00 ~ 14:50
- 15:00 ~ 15:50
- 16:00 ~ 16:50
- 17:00 ~ 17:30(質疑応答時間)
受講者が集中力を維持できるよう、適切な休憩時間を設けるという心得です。
開始時間はクライアントの始業時間で変わりますが、先方のタイムラインがあったとしても、必ず50分講義・10分休憩・1時間昼休みのタイムスケジュールに切り替えています。
第7の心得
朝のあいさつ原稿と、講座終わりの締め原稿は作っておく
落語を聞いて気づいたのですが、噺の「はじまり」と「おわり」は重要だと強く感じました。対面式講座でも、オンライン講座でも、原稿はいつも作っています。「はじまり」も「おわり」もぼやっとしてしまうと、締まりがないですからね。
ただ、あくまでこの原稿が役立つわけではない、という認識を持つことが重要です。
そのときの時事、または受講生の雰囲気によって話題を切り替える必要もあるので、あくまでこの原稿は頭が急に真っ白の状態を防ぐ目的のもので、お守りがわりのものです。
★ 原稿サンプル
皆様おはようございます。本日「Excelで学ぶビジネスデータ分析の基礎」、こちらの資格対策講座の講師を担当させていただきます、榊裕次郎です。東京からのオンラインになりますが、どうぞ1日よろしくお願いいたします。
本日のタイムスケジュールではございますが、基本的に50分講座、10分休憩の間隔で進めてまいります。まず、お昼休みは12:00 ~ 13:00までの1時間を予定しておりますが、講座進行によって、多少は前後いたしますので、ご了承くださいませ。長丁場となりますので、休憩時間中の水分補給だけは忘れずに適宜とってください。
全部で7コマ、最後15分ほど足が出るのですが、17時15分まで、このテキストを1冊すべて網羅していく予定です。それではさっそく講座を始めていきましょう。
★ あとはアドリブでGo!
第8の心得
鼻うがいとマウスウォッシュと喉の潤いケアを欠かさない
講師業では必須アイテムです。
- 小林製薬さんの「ハナノア」
- ライオンさんの「NONIO」
- 龍角散さんの「龍角散(ピーチ味)」
花粉症持ちで、かつ副鼻腔炎・蓄膿症になりやすく、どうしたものかと悩んでいたところ鼻うがいを試してから、かなり改善されました。鼻うがいすげぇ~と。
マウスウォッシュは口臭予防というより、口内炎予防のためです。ストレスの負荷が強い講座もあり、舌が荒れやすい。マウスウォッシュは口内炎の直りが早くなるので、いつも持ち歩いています。
そして龍角散は、喉がやられそうになったとき、すぐに効きます。乾燥した部屋など、一回せき込むと解決できない、どうしようもない喉のイガイガ感があったりするんですよね……。
スティックタイプの龍角散は常備品です。
第9の心得
講座のレビューは参考までに
自分がどんなに最高の講座を展開したとしても、レビュー5段階ならば「3.4~3.8」に収束するのではないか? 正規分布に従うのではないか? と考えています。つまり、68%は普通の評価で、残りの16%は不満足と大満足に分かれるいった具合です。
4.1以上のレビューが世間的には好ましいのですが、この維持を気にしすぎると、ストレスにしかなりません。チャンネル登録者数や再生回数に憑りつかれておかしくなるYouTuberのように、まずメンタルがやられます。ベストさえいつでも尽くしていれば、必ず3.4~3.8に収束していくというマインドを持ってレビューと接した方が心穏やかになれます。
ただし、個人開催以外でのアンケート結果でクレームがあった場合、そのときどういう状況だったかを必ず運営・事務局に伝えておく必要があります。アンケート結果の振り返りは、そのときにその日中にやらないと、講師の評価が下がってしまうことがあるからです。
自分に不利が発生しないよう、コミュニケーションを徹底してください。ネガティブな記録は、時間の経過に伴ってマイナスの力を発生させます。しっかりとご対応ください。
第10の心得
講師としての尊厳は保つ
講師に対して、知識を競い合おうとする受講生も中にはいます。間違いの指摘であれば、勉強不足・準備不足だった、と反省しなければいけませんが、単に自分の意見や主張を述べて、講座の進行を中断してくる受講生も一定数存在します。
講師と受講生という関係性をその指導時間中に維持しなければ講座は崩壊してしまうので、立ち振る舞いはやはり重要です。場の雰囲気が悪くなりそうなときは、一度無言の時間を置いて整える。相手が年上であれ、時には叱責も必要です。講師と受講生の立ち位置が逆転しないように注意してください。
また、講座運営をする事務局との信頼関係も重要です。
【過去事例1】
講師の説明に対し、逐次「違う。自分はこうだ」と突っかかってくる60代の女性がいました。講座全体の雰囲気をかき乱すため、叱責をさせていただきました。
こういった場合、事務局等に確認し、途中退出させるという選択肢を入れて構いません。個人開催だったら、講座進行を即刻中止という決断を私だったら取ります。講師が講師としての尊厳を損なわれる状況に陥ってしまうのであれば、講座進行を中止することが適切です。もうその講義は破綻しており、時間の無駄です。そのため、開催告知に代金の返金規則に関する内容を記載しておく必要があります。
このケースでは、叱責後におとなしくなったので講座を進行しました。講座後のアンケートは、ほとんど支離滅裂な脅迫文でしたけれどもねw
【過去事例2】
新型コロナ感染(デルタ株流行時の出来事)の疑いがある受講生が講座中に発熱。その報告を事務局にした際、受講生は引き取るのでそのまま講座を続けてくださいという判断をされたことがありました。
このケースも、講座進行をやめました。毒性の強い時期(PCR検査をしての開催だったので、対面式開催に関しては安全面に配慮してくれたと思っていたのですが)、その状況下で講座を続ける判断を下したのがどうにも解せなかったのですね。講師とその他の受講生の安全を考えていない運営体制であると判断したため、開催を中止しました。
尊厳を保つうえで重要なポイントは、絶対に感情的にならないこと。
感情的になっては駄目です。正しいコントロールができなくなるので、暴言を吐かれても聞き流してください(これも、訓練が必要です。最初のうちは苛立ちと怒りの感情に飲み込まれますが、次第に鈍ってくるので、訓練方法は場数を踏む以外にありません。感情に飲み込まれたら、そのあとの自分をじっくり観察してください。自分はどうしてあんなにストレスを受けたのだろう? と、客観的に観察することが「受け流しスキル」を身につける近道です)。
第11の心得
講座を楽しむ
講師業が適職だと感じたのは、講座をしている瞬間が好きだからです。車やバイク好きの人は、運転をしている瞬間が好きなのと同じように、講座をしている瞬間が好きであるので、これが適職なのでしょう。なので、どんな講座でも自分の出番がある講座はとにかく楽しもうと思っています。
たとえ、客先用のガチガチな研修講座であっても、なんとか雑談をねじ込んで面白くなるように調整します。自分が楽しんでいないのであれば、それはきっと退屈な講座でしかないでしょうからね。
以上が講師の心得11か条でした! 講師業はこういうところに注意しているんだよと、皆様のお仕事にも参考になるところがあれば幸いです。
更新履歴
2023年4月22日 - 初回投稿